ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

ゴルフな人々

おバカな人々

朝目が覚めると、左手の3本指が痛い。 握り込むと途中で痛みが出て、力が入らない.... 折角練習にも行かずに安静にしていた左手の中指・薬指・小指の3本を、また痛めてしまった(泣)。 延び延びになっていた飲み会の約束を「今週後半に」なんて言って…

2年程前、難しいと言う評判のコースのバックティー使用のオープンコンペで60前後のMさんというゴルファーと一緒になった。 いかにもラウンド数が多いと判る日焼けをしていて、飛ばないけれどショットの正確さと小技やパットの上手さで36・37のワンオ…

夫の実家

「今度の休日、実家に行こうと思うんだけど..」 夫が申し訳なさそうに、言いに来た。 「ちょっと、おふくろの様子見て来ようと思うんだけど」 「わかった」 悪いけど、あまり乗り気じゃない気分を表すようにして答える。 夫の実家は、東京から高速に乗って…

再開

Hさんは、一年中出しっ放しのコタツに入ってワンカップを開ける。 摘みには柿の種...最近はずっとこんなもんだ。 もう東京を離れて10年になる。 東京、と言っても近郊の所謂ベッドタウンだが、Hさんは都心まで1時間程の街でずっと暮らしていた。 親の…

キャディーM

Mさんは今年で85になる。 もう姉妹も夫も先に逝ってしまったけれど、Mさん自身はしっかりとしていて特に病気もボケもない。 見た目はまだ60代で通る程若々しい...と自分では思っている。 足腰はまだしっかりしているし、買い物も散歩も気楽に出かけら…

記憶の彼方に...2

「今度勝負しよう」 そんな口約束が果たされずに終わってしまった事が何度もある。 いつかそのうちに出来るさ、と思っていたのに不意に永遠に出来なくなってしまう...「ああ、やっておけば良かった」なんて悔いはひどく辛い。 Yさんと言う人がいた。 ゴル…

記憶の彼方に

少し前に廃業したゴルフ場が増えている事を書いた。 開場する時には華やかなセレモニーでスタートしたゴルフ場も、廃業する時には本当に静かに「いつの間にか」という感じで消えて行く。 その廃業したゴルフコースの中に田人カントリークラブと言うコースが…

よくある話...

それは、まだゴルフを始めて間もない頃、ウッドはパーシモン、スチールシャフト以外のシャフトはカーボンシャフトと言われていた頃の話。 車を運転していて、偶然「ゴルフクラブ 売ります 買います」という看板を見かけた。 当時はゴルフの中古クラブなんて…

捨てる人

今週の掃除当番だったAさんは、早朝の5時に大型ゴミの集積場を見に来た。 この日回収する大型ゴミは、全て市に連絡してお金を払わなければ持って行ってもらえない物で、時折内緒でそういった物をここに捨てて行く不届き者が居たりする。 その日当番に当たっ…

悪夢

「また、あの夢だ...」 Tさんは汗をかいて目を覚ます。 毎年この時期になると見る夢だ。 こんな夢を見始めてから、もう十年になる。 ...30を過ぎてゴルフを始めたTさんは、すぐにゴルフに熱中してしまい、他の趣味を全てやめて小遣いや余暇の全ての…

三年ジンクス

明日はラウンドだ。 Yさんは、少し興奮して明日の準備をする。 でも、Yさんの明日のラウンドに合わせた準備は、他人が見たら呆れるしか無いだろう。 自分でも判っている。 ラウンド中は、ウェアで判らないようにしているが、裸になると殆ど継ぎ接ぎだらけの…

酒場語り

「年取っちゃったんだよなあ」 向かいに座っていたオヤジが、独り言を言い出した。 いつもの店が閉まっていたので、何となく入った始めての店。 結構客がいたので「外れ」じゃなさそうだと思ったんだけど、一人で飲んでいた年配の男と相席になった。 男は7…

ティータイム

「もし時間あったらお茶でも飲まない?」 Sさんの携帯にKさんからメールが入った。 「洗濯物も干したし、特に急な用事もないから大丈夫よ。」 と返事を出す。 「じゃ30分後にあの喫茶店で。」 以前はファミレスで食事がてら何時間もお喋りしたものだったが…

二百年モノのミシシッピパーシモン

むかしむかし、ドライバーと言えばパーシモンが当たり前の時代の事。 今の家に引っ越す前に住んでいた町に、小さなゴルフクラブの工房があった。 その工房でオーダーメイドで作ってくれるパーシモンドライバーは、値段もそれほど高くなく、作ってもらったあ…

和解

東京に出て来て15年になる。 大学入学とともに上京して、うまく公務員になれてそのまま東京に住み続けている。 面白みの無い地味な仕事だけれど生活は安定して、安いワンルームマンションで贅沢ではないけれど不自由も無く暮らしている。 自分のペースで暮…

日記

ある競技で、一人参加の人4人が組み合わせになった。 朝のスタート前の挨拶で(どなたも見覚えが無かったので)、それぞれ「はじめまして」「よろしくお願いします」と挨拶を交わす。 競技ルールの説明やマーカーの確認などの一通りの儀式が終わったあとで…

ロックだぜい

あたし? もう26だもん、ババーだよ。 ゴルフ? ちょーおもしれえよ、前は馬鹿にしてたけどさ。 きっかけ? ああ、店に来てたお客さんに誘われてさ...いいお客さんなんで一度くらい付き合ってもいいかなー..て。 え? キャバクラじゃないよ、ただの居…

女の道

そう、特に目立つ事のない、普通の女性から聞いた話。 どこにでもあってまずまず「普通」に生きて来た人生は、小説の様なドラマもエピソードも無く、ただ時間だけが過ぎ。 悪いことはそれほど無くて、かと言って特に良いことも無く。 普通の男と結婚して家族…

モグラ殺しとヒバリ殺し

どこにでもいる 普通のゴルファー達の 普通のお話 ゴルフのように人生を 人生のようにゴルフを なんて 格好良く... 行けるはずが無いだろ 「俺」なんだから ああ 腰が痛え 膝が痛え 首が痛え ついでに ...心も痛えや

目標

あと10年か。 Fさんは誕生日を過ぎてそう思う。 50歳...定年まであと10年。 真面目だけが取り柄で、何の取り柄も才能も無くひたすら働いて来て30年弱。 運が良い事に、今いる会社は大きくはないが業績は堅調で、リストラもされずに無事に働いて来…

絶対負けない

朝、家を出る時に会った近所のオバさんに「まあ、ゴルフなんて羨ましいわね」なんて言われた。 「おはようございます」とだけ言ったけど、顔が熱くなった。 きっと「朝から遊び歩いて、いい身分だこと」なんて思っているんだろう。 自分だってしょっちゅうオ…

むかし、むかし

男と女が、それなりに幸せに暮らしていたとかいないとか。 ある日 男はゴルフに出会った 男はどんどんゴルフに夢中 上手くなる程ゴルフにもっと夢中 休みの日には、暗いうちから家を出て 灯りのついた家に帰って来る 女ははじめ、少しだけ不満を言う だんだ…

潮時

あなたがホールアウトしてからもう十年経ったのね。 私はあなたとの約束を守って、月に一度はここに通って来たけれど.. 最近は18ホール回る事は殆ど無くなったわ。 いつも10番から9ホール回るだけ。 それに、ずいぶんこのコースも変わったわ。 あなた…

おまじない

そのオープンコンペでは、一人参加の人4人が一組になった。 私と、60年配のSさん、50歳くらいのMさんとまだ30代のHさん...それぞれ私よりもずっと日に焼けていて、その黒さがここ最近のラウンド回数の多さを物語っていた。 オープンコンペの一人参…

空を飛ぶ

Fさんは、少し前に50を越えた。 子供は自分で生活出来る様になり、夫は仕事に遊びに忙しい。 数年前までは学費や食費と夫の「仕事上」の交際費とやらの支出が多くて、お金を貯める事も残す事も出来なかったが、最近やっと経済的には少し余裕ができる様にな…

住所...職業...

秋の気配が深まる頃、未明に県警の110番に通報が入った。 「誰もいないはずの事務所で物音がする」 通報して来たのはある建設事務所の社員で、残業で遅くなったので仮眠室で仮眠していた社員だった。 この時期、何件かの事務所荒らしが続いていたので、警…

冒険

「結局出来たのは、5人の子供だけ だけどまだ終わらない、これからさ...」 昔、牧葉ユミと言う歌手が歌った「冒険」と言う歌のリフレインが、頭から離れなくなったのいつからだったろう... Mさんは高校生だった頃にこの歌を聴いて、妙にリズミカルで…

素晴らしきアマチュアスイング!

今までに「ああ、ゴルフ!」で「素晴らしいアマチュアスイング」として、今までに出会った中でも個性的だった二人の方のスイングを紹介した事があった。 最近出会ったこの方のスイングは、ユニークであるのみならず「ゴルフ・人生」を感じさせてくれたので「…

どっちを選ぶ?

ゴルフを始めて7年...と言っても、Fさんにとってゴルフが自分の人生の中でかなり大きな部分を占める様になったのはここ3年くらいのことだ。 Fさんは年は40半ば、子供にあまり手がかからなくなって、やっとゴルフ友達の誘いに普通に応じられる様になっ…

泣いた男

その男は試合が終わり、相手を祝福しキャディーを労った後、記者達に囲まれている勝者の喧噪の影でグリーンの端に座り込んで、膝を抱えて泣いていた。 その姿を見たのは偶然だった。 ヨーロピアンツアーの最終日の中継を見ていたら、その中継の間に過去のそ…