ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

絶対負けない

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朝、家を出る時に会った近所のオバさんに「まあ、ゴルフなんて羨ましいわね」なんて言われた。

「おはようございます」とだけ言ったけど、顔が熱くなった。
きっと「朝から遊び歩いて、いい身分だこと」なんて思っているんだろう。
自分だってしょっちゅうオバさん同士で、結構高いファミレスや喫茶店で長い時間お喋りしているし、カラオケだって飲み屋だって週一で行っているくせに。

アタシなんか少ない給料で、他は我慢して月1か月2のゴルフを楽しんでいるんだ。
最近はちょっと遠いコースはプレーフィーが安くなったので、なんとか毎月2回のプレーを楽しめるようになったけど。
でも、コースに行く為に中古の軽を買ったおかげで、その維持費の税金やガソリン代や高速代を考えたら、やっぱりそれ以上は行けない。

クラブはローンで買ったのがやっと払い終わったばっかりで、ゴルフウェアは季節外れになるヤツをバーゲンセールで少しずつ買ったヤツ。
ボールは明るい色のカラーボールを、ロストボールで買っておく...カラーボールならロストボールでも傷や汚れが目立たなくて奇麗に見えるから。
練習場は回数券を買っておいて、週一は行っているけど...はっきり言って上達してない。
練習場で知り合った人と、ゴルフブログの読者として知り合った人たちと二つのサークルにはいっているけれど、4年経ってもまだ100が切れない。

元々あまり運動をした事がなかったのに、会社の仕事先のコンペに出る事になっていやいや始めたゴルフだった。
でもやってみたらゴルフがどういうものかより、ただゴルフ場の空の広さと、グリーンの芝の美しさに感動してしまった。
特にグリーンと呼ばれるエリアの短く刈られた芝の美しさには感動して、「この靴のまま歩いていいのかしら」なんて思った...あとでその事を話すとみんなに爆笑されるけど。

上手く打つ事は、全然出来ない。
何回打っても失敗ばっかりで、涙さえ出てくる。
でも、最初のラウンドで上級の人に「たとえ下手でも、プレーが速ければ嫌がられないから」と教わったので、たいていベソをかきながら走り回っている。
本当にいつもいつも絶望に近い悲しい気持ちで帰ってくるのに、帰ったあとでもう次に行ける日の事を考えている。
ゴルフの前の日は殆ど眠れない...恐怖と不安と悲しみと、それよりちょっと大きな「遠足前の様な」楽しみに翻弄されて。

ゴルフに行く前から、ゴルフに行く朝から気持ちが折れそうな事が沢山続く。
ゴルフ場に近づくに連れて、心臓はドキドキして貧血さえ起こしそうな程。
スタートホールからコースを見れば、緊張はもう最大限になって来て、自分が何をしているのかわからなくなる。
たいていティーショットは上手く行かなくて、そこからは記憶も朧でただ走り回る事ばかり。
ハーフが終わるのはあっという間。
お昼に食べる食事は、何とも贅沢で自分にとって一番のごちそうだと感じている。
午後のハーフも午前中と変わらずに走り回って...ただあと3ホールなんて思ったとたん、凄く名残惜しくなる。
あと2ホール、これが最終ホール、なんて言うと「もう終わってしまうの?」と言う寂しさだけが強くなる。
スコアはいつもみんなの中でビリで、「大変だったわね」と同情されたり、「相変わらず下手なのねえ」なんて笑われたり、「なんで上手くならないのかしら」なんて呆れられたりするけど、不思議にゴルフやめようなんて思わない。

「あはは、また沢山叩いちゃった」なんて笑って誤摩化すだけ。
それで、いつもその後に「絶対負けないぞ」って思っているのに自分で驚く。
...そういえばボールを追って急いで歩いている時に、ふと気がつくと「絶対負けない」っておまじないのように独り言を言っている事が多い。

別に負けず嫌いの性格って訳でもないのに、なんで「絶対負けない」なんて気持ちになるのかわからないけど...やっぱり今の気持ちを素直に言えば

「アタシは絶対負けないぞ!」