ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

ゴルフの面白さとは?...2

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こんな話は滅多にないこと...だから記憶に残り、ずっと後まで話の種になるんだけど。
舞台は1995年のシネコックヒルズ、第95回全米オープンだ。

ラフとブッシュが非常に厳しく、あのタイガーウッズが「アマチュア全米オープン初挑戦」というのに、ラフで手首を痛めて棄権したほど。
そんな中、最後に一騎打ちとなったのが当時全盛期の飛ばし屋グレグ・ノーマンと、飛ばないので有名なコーリー・ペイビン。
ノーマンはハイドローでピン一直線に攻めまくり、ペイビンは飛ばない曲げ球で必死にコースを攻略する。
ティーショットは殆ど50ヤード以上置いていかれる。

その象徴が最終18番ホール。
450yの上りのパー4。
ペイビンの残り距離は228ヤード上り。
これを4番ウッドのフックボールで先に1・5mにつける。
ノーマンはミドルアイアンで軽々とピンを狙う。
結局1打リードしていたペイビンが逃げ切ってメジャー初勝利となったのだが、この二人の戦いは面白かった。

飛ばないものが先に曲げ球を駆使してピンに絡ませる、というのはマッチプレー勝利の鉄則だけど、この時のペイビンほどそれを見事にやってのけたゴルファーを他に知らない。

実際には我々は、現代クラブを使う限り飛距離の魅力には勝てない。
「より飛ぶようにできている」現代のクラブは、飛んだ方が気持ちが良いし飛ばすつもりで振らないとかえって難しくなることが多い。
まして、普段練習場で「飛ばさない練習」なんて絶対にしない「普通のゴルファー」には、飛ばすつもりで振る方がずっと優しい...実際には飛ばなくても、だ。

飛ばさないゴルフってのは、結局残り距離が長くなり、それは次のショットでミスをする確率が高くなるのが普通のレベルのゴルファー。
ラッキーでも間違いでも、カート道路を使っても、少しでも先に行った方が次に使うクラブが短くなりミスの確率は減る。
「飛ばすことより正確安全なショット」なんて言葉は、言うは易しくやるは難しい、まして結果を出すのはめちゃくちゃ難しい現実味のない言葉。

   
唯一我々ができるのは、「自信の持てる得意な短い距離を持つ」と言うことだけ。
120yでも、100yでも、50yでもこの距離なら自分は一番ミスが少ない、と言うクラブ・打ち方を持つこと....練習場でともかく一番打って、自分なりに一番ミスの少ないクラブを作ることだ。
他人が見たときに、バッグの中に「特別使い込んだクラブが一本ある」と言う状態がいい。
(ドライバーが一番、なんてのはダメ)

この「得意距離」が残って、ピンそばにボールが「ビターン!」なんてのが、アベレージを過ぎたゴルファーには一番気持ちが良いショットとなるはず。
ピンに絡んで飛んでゆく白いボールの夢でも見たら、もう立派な夢見る上級ゴルファーだ。
(もちろん、「得意距離を残す」ことも結構難しいんだけどね。)