ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

ひとつ大きめのクラブで狙え!

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「ひとつ大きめのクラブで狙え!」...ジャック・バーク・ジュニア。
ジャック.バーク・ジュニアは、1956年のマスターズとPGA選手権に勝った名手。
1949年から1963年にかけて、米ツアーで20勝を挙げた。

ごくシンプルな言葉だ。
が、ゴルフを長く楽しむにつれ、この言葉が殆どのミスショットに当てはまるような気がしてくる。
ミスショット、と言うよりそれは「ミスジャッジ」なんだけど。

非常に稀にラフや雨で濡れたフェアウェイから、ドロップして長いクラブではないのにグリーンオーバーしてしまう事はある。
これはヘッドスピードの速いゴルファーには起こりがちな事ではある。
しかし普通のゴルファーにとって、グリーンをショートして手前のハザードに落すミスとグリーンオーバーするミスと、どちらが多いかと言えば圧倒的にショートのミスだろう。

これは考えてみれば、当たり前の事である。
だって、普通のゴルファーが自分のクラブの飛距離を確認して、データとして覚えるのは練習場でのショットからだろう。
あるいはコースのショートホールでのショットの経験からかもしれない。
どちらにしても、平らな場所からやティーアップしたボールでの飛距離だ。
しかし、コースでの2打目3打目、あるいは4打目でグリーンを狙うショットのライは、千差万別、千変万化、同じライなんて事は絶対にない。
左足下がり、右足下がり、爪先上がりに爪先下がり、フェアウェイにラフにベアグランド、泥がついてたり砂だらけだったり...
それに、風が吹き、雨が降り、太陽が照り、虫が飛び、欲が出たり不安が起きたり、緊張したり油断したり...
これがゴルフの魅力そのものとも言える、喜怒哀楽、裸のまんまの自分と向き合う事になる。
そうした時に、「いつもの」なんて思っている自分の一番正解に近いスイングなんて出来ようも無く、腕が縮んだり、頭が動いたり、ボールが見えなかったり、他人の目が気になったり...

その結果、90パーセントはそのクラブで「いつもの距離」が出ない当たりとなる。
130ヤード飛ぶ「はず」のクラブなら、120ヤード、110ヤード、あるいは100ヤードしか飛ばない。
本物の「トップボール」や「シャンク」は論外として、そのミスは1番手あるいは2番手大きなクラブを持てば、半分以上は助かるだろう。
精神的にも、多少ダフったりちゃんと当たらなくても、「十分グリーンに届くクラブ」を持っていると自覚するだけで、お祭り騒ぎロックンロール狂乱状態の精神は、軽いフォークソングぐらいの動揺に落ち着くだろう。
...それなら、そのショットを楽しめる。

いつも「ピンデッド」とか「グリーンにはフルショットでぴったりのクラブ」だとか...ごく稀に上手くいけば「凄い」とか「上手い!」だとか言われるものだから、殆どの場合にミスした事を忘れてしまっている。
思い出せ!...そうして、何度池ポチャでボールを無くしたか、何度バンカーで目玉になって大叩きの原因を作ったか。

古くからいろいろな名手達が同じような事を言っているけれど、これはシンプルで、実に有効な言葉だ。
もし、偶々会心のショットが出てグリーンオーバーしたとしても、それこそ自分のショットが正確だったということで、気持ちはそれなりにいいんじゃない?