ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

タイのヒーロー トンチャイ・ジャイディー

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ずっと気になっている男だった。
欧州ツアーで戦っているトンチャイ・ジャイディー...まず名前が気に入って注目するようになった。
タイのキックボクサーの様な精悍な表情と、小柄で非力だが歯切れの良いゴルフ。
絶対的に飛距離は無いが、粘りと小技で淡々とプレーを続けるその態度は、東洋の武人の風格がある。

先週の100回記念(欧州最古)のフランスオープンで、2位を4打引き離して、46歳200何日かと言う「最年長優勝」の記録をおまけにして優勝した。
これで欧州ツアー8勝...「いつの間に」と言う感じだが、今の日本選手には無い逞しさと強さを感じるプロゴルファーだ。

タイ人の他のゴルファーと言うと、日本ツアーに出ていたプラヤド・マークセン(現在はシニア)が知られているが、今の世界のツアーではタイ出身のプロの勢力がもの凄い勢で伸びて来ている。
男子プロではトンチャイ・ジャイディーの他に、若手のキラデク・アフィンバーンラトが欧州ツアーで2勝して度々優勝争いに加わって来ているし、日本女子ツアーではポラニ・チュティチャイが優勝した。

そしてなにより凄いのが、米女子ツアーで初優勝からいきなり3週連続優勝を勝ち取ってしまったアリヤ・ジュタヌガン...僅か20歳ながら、そのスケールの大きなゴルフは韓国選手に席巻されていた米女子ツアーにその勢力図を一気に書き換える程の衝撃を与えている。
このアリヤと共に姉のモリヤ・ジュタヌガンも女子ツアーに参加しているので、これからはタイのゴルファーの活躍を頻繁に聞くことになるだろう。

そんな日米欧全てのツアーで一気に活躍しだしたタイのプロゴルファー達の、「先兵」として道を開いて来たのがこのトンチャイ・ジャイディー。
他の活躍しているタイ人プロの殆どは裕福な環境出身ということだが、このジャイディーは貧しい育ちで、16歳で道端に落ちていた5番アイアンのヘッドに竹の棒を差し込んで見よう見まねでゴルフらしきものを始めたのが最初とか...
まるでセベ・バレステロスの逸話を思い出す様な話だが、ジャイディーはその後軍隊に入り、30歳になってやっとプロに転向した苦労人で、2005年に36歳でやっと世界ランク100位以内に入った超遅咲きのプロゴルファー。

育ちも雰囲気も、その戦い振りも...多分、オレが今一番共感出来る(感情移入出来る)プロゴルファーだ。
粘り強く、カッコ悪く、しぶとく、戦い抜いて欲しい。

そして、やがてメジャーの夢も...