ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

石川遼の戦い

イメージ 1

今朝のニュースで、石川遼アメリカツアーの最終戦ウィンダム選手権で、最終日4アンダーで上がり31位...フェデックスポイントで124位に入り、ギリギリでシード権を確保し、プレーオフの進出権を得る事が出来たことを知った。

この試合では松山は予選落ち、石川は予選カット線上でやっと予選を通過した。
3日目スコアを伸ばしたが47位で、最終日にかなりスコアを伸ばせなければ(ほぼ30位前後まで)シード権を得るのは難しいと言う状況だった。
これまでの石川の成績は、途中経過ではかなり上位に居たり優勝も狙えるなんて位置に居ながら、結局最終日にはスコアを崩して終わってみればビリに近いなんてことが多くて、正直今年はシード権確保は無理だろうと思っていた。
それが最終日1イーグル4バーディー2ボギーの66でまわったのは見事だった。

10代で高校生のアマチュアながら日本ツアーで優勝し、それ以降ハンサムボーイでゴルフが強いとブームが起きて脚光を浴び、プロ転向後は(多分)ゴルフ以外でも莫大な金を稼ぎ、賞金王を獲った後アメリカツアーに挑戦した。
しかし、21歳で挑戦したアメリカツアーは甘くはなかった。
日本では前半で少しでも上位に行くと今にも「ツアー初優勝か!」と騒がれたが、世界ツアーのレベルは高く層は厚い....まだ十代で日本では「世界に通用する天才ゴルファー」と騒がれていた時に、ゲーリー・プレーヤーが「石川は確かに才能あるゴルファーだが、彼ぐらいの才能のゴルファーは世界で3千人くらいはいるのを忘れちゃいけない」と言っていたのが記憶に残る。
才能はある...しかし、それ以上に努力しなければもっと上を行く者が沢山居るんだ、と言うプレーヤーの本心からの忠告だったろう。

石川はプレジデントカップやスポットで出たメジャーなどで悪くはない成績を残して、「これならツアーですぐにでも優勝出来るだろうし、シード権なんて取れて当たり前」なんて誰もが感じていたろう。
しかし、常時その戦場で戦ってみるとそれは甘すぎる予想だった。
ツアーに出ているプロの誰もが少年時代から「天才」と呼ばれ、アマチュアで実績を残し、各国のゴルフ界の期待を担う星(スター)達だった。
飛距離が違う、ピンを狙うショットの正確性が違う、パットだって皆天才的に上手い。
...それぞれの才能に出会って、自分に迷いが生まれたんだろうし、技術的な「なにか」に気がついて修正しようとしたんだろう。
迷いと試行錯誤の中で、優勝争いなんてとんでもない...毎年シード権争いを勝ち抜くことにやっとの状態...よく戦い続けていると思う。

後からツアーに参戦して来た松山秀樹に、あっという間に初勝利を上げられ、いつも優勝争いをする派手な活躍をされて、注目は松山ばかりに集まるようになった。
石川は「それにひきかえ」という形での注目だけになる。

松山は石川と違い、エンジンが大きくアメリカツアーで活躍する大型選手に引けを取らない....おまけにゴルフに最高に向いている「ある種の鈍感さ」を元々の性格に持っている。
これはなろうとしてなれるものではないし、身につけようとして見につくものでもない。
彼は石川とは別種の生物なのだと思うことだ、焦ってはいけない。

ツアーに参加して3年で、今24歳。
つい先日全米プロに勝ったジェイソン・デイは、23で米ツアー初優勝したがブレイクしたのは昨年からだ....今年11月で28歳になるが、これほど体力と才能にあふれたゴルファーでさえそれだけの時間がかかっている。
体力面で不利な石川が結果を出せるようになるには、まだ時間がかかるだろう。
しかし、納得するゴルフが出来なくても地道に戦い続けて、世界最高峰のツアーでシード権を獲り続けると言うことは本来大したことだ。
日本に居れば大金を稼ぐことは容易で、人気者としてちやほやされて気楽に生きて行けるものを、敢えて一番厳しい世界で戦い続けている石川を一不良老人ゴルファーは応援したい。


そうして努力して行けば必ずチャンスは来る...と思いたい。