40年振りの寒波とやらが通り過ぎて、風さえなければ日溜まりは十分に暖かい。
ひ弱で大人しい柚は、なによりも日溜まりが好きだ。
外に出られないので、網戸越しの空気と景色が彼女の境界。
大人しく、穏やかにそこに居て、背景にとけ込む。
安心するなよ、またすぐに寒い日は来る。
冬はまだ終わった訳じゃない。
それでなくても世の中が怖いお前には、冷たい雪や凍えるような寒い風に太刀打ち出来るような毛皮は無いんだ。
その毛皮は見た目は暖かそうだが、娘に言わせると「フェイク」だそうだ。
手触りはいいけど、保温効果は極少ない。
まだまだ春は遠い。
日溜まりと、湯たんぽと、コタツとストーブ。
そこが当分、お前の居場所だ。