ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

逃走犯  (2016年12月8日)

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柚は生まれてすぐに親猫から育児放棄された、本当にひ弱な猫だった。
その為に性格は非常に大人しく、引っ掻いたり噛み付いたりする事の無い優しい猫に育った。
(子供の頃から猫を飼う環境で育って来て、引っ掻いたり噛み付いたりしない猫というのはこの猫が初めて)

多分外の世界に出たら、あっという間に自然淘汰されてしまう方の生物だと断言出来る程、か弱い。
動きは遅く、穏やかで、人に頼って生きているのが当たり前と自分でも判っているように見える。
可哀想だけど、その為に家の中で飼う事にして、外の世界に振れるのは窓や網戸越しか、二階のベランダからの空気だけだった。

その猫が、うちの奥さんの不注意から、脱走・逃走の味を覚えてしまった。
玄関を開けっ放しで用事をしていて、その隙間から逃げられたのだ。
その時にはすぐに捕まえられたが、二度三度と繰り返すうちに逃げるのが上手くなって来た。
家のすぐ裏には道路があり、この辺を縄張りとする雄の野良猫も二匹いる。
汚れて痩せてはいるけど、この世界を野良で生き延びて来た逞しい野良猫に会ったら、柚なんかでは瞬殺されるのは明らか。
噛まれて病気をうつされるのも怖いし、わりと頻繁に通る車にひき殺されるのも時間の問題...

前に飼っていた猫は野良で生きていた時代があったため、逞しく自立していたので外には自由に出ていた。
喧嘩をしても向こう傷ばかりの猫で、メスなのにオス猫よりも強かった。
そのかわり、余計な事をするとこちらも引っ掻かれたり噛み付かれたり...手には生傷が絶えなかった。

外に出られない猫は本当に可哀想だけど、これほど弱く大人しい猫が外の世界で無傷でいられるとはとても思えない。

脱走したら、すぐに捕まえなくてはならない。
二人掛かりでこうして捕まえた後...可哀想だけど強く叱って、土管の中で汚れた身体を洗って奇麗にする。
尻尾が腹迄丸まって、大人しくなり反省の色しきりだけど...

この猫、記憶力もあんまりないみたいで、また繰り返す予感がする...
外で痛い目に合わなくては判らないのかなあ...それが致命傷になりそうなので、絶対に避けたいと思っているんだけれど。

可哀想だけど、柚には判らないんだろうなあ...