ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

そこの若いの! ゴルフやってみないか? ...8

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書いててだんだん切なくなる記事になっちまったなあ。
知り合いや身内や上司なんかがゴルフをやっていない場合に、ゴルフに興味を持った若者が自分一人でゴルフを始める事がどんなに大変か...そればかりが明らかになってくる。

それに、車や免許を持たない正社員じゃない若者には、殆ど不可能な程ゴルフを始める事は敷居が高い。
殆どのコースではセルフプレーは乗用カート使用だが、これは免許を持っていないと運転出来ない。
それに電車使用でコースに行けたとしても、駅からのクラブバスを運行しているコースは少なくなってしまった...タクシーなんて使ったらプレー代は高くなりすぎる。

それでも、ちょっと練習しただけでコース初体験する為の最低限の注意事項を書いてみる。
本当はある程度ちゃんとボールは打てないうちはコースに出ない方が良いんだけれど、コースでコースボールを打つ経験をしないとゴルフの本当の気持ち良さは判らない...ゴルフにハマる切っ掛けにならないと思うからこんな邪道のやり方を教えている訳だ。

さて、初心者が初ラウンドを同じうような仲間と二人で体験しようとしていると仮定しよう。
プレーの申し込みは、ネットで出来る。
値段の安さだけでは無く、まわりやすさや気持ち良さや往復の交通費やその手段まで含めて検討する事。
二人とも免許を持ってなかったら、乗用カート使用のコースではなく電動カート使用の歩きラウンドのコースを選ばなくてはならない。

普通、マシなのはやはり近い河川敷コースだろう。
広いし平らだし、ボールを無くし難いし、安いし特別に難しいローカルルールも無い。
ただし、隣のホールが近いので、打ち損なったらすぐに当事者も同伴のゴルファーも思い切り大きな声で「フォア~!」と叫ぶ用意をしておく事。
これは遠慮なく思い切り大きな声を出すのがポイント...一部でいう様な「ファー!」なんて言葉は間違い、英語で「Fore!」「フォアー!」だ...大きな声で叫ぶ事で、もし運悪くそのボールが他の人に当たってしまったとしても、問題を最小限の事故としてもらえる(しかし、絶対に当てたり当たったりしない事が一番)。
その為には、ミスばかりでチョロの連発だったとしても、若い人達にはパワーがありヘッドスピードは速い人が多いから、「どうせ届かないだろう」なんて勝手に判断して、まだ前に組の人がセカンドなりサードショットなりをを打ってなかったら絶対に打ってはならない...不思議なもので、「どうせちゃんと当たらないから」なんて気持ちで振ったショットはバカ当たりをしがちなもの。
まず自分が怪我をしない事、誰かに怪我をさせない事が、初ラウンドの大前提だ。
(他に一緒にまわっている人より絶対に前に出ないし真横にも立たない事も大事...初心者は真横にだって打てるものだから)

さて、最初に言っておく事は、この初ラウンドは「ゴルフ」ではなく「ゴルフみたいなもの」を経験する為だということ。
ゴルフとは本来、ティーショットを打ったらグリーンに乗るまでボールに触れてはならない。
どんなライに行っても、それを楽しんでノータッチでプレーするのがゴルフ。
それを、 Play as it lies.
と言う(これはこのゲームの基本の基本だ)。

しかし、この初ラウンドは変なところに(木の後ろや林の中や、池のそばや深いラフの中や急な斜面)行ったボールは、良いライのところに持って来て打つ事。
プレーを遅れさせない事と、変な怪我をしない事が大事だからだ(木の後ろから打って跳ね返って自分に当たったり、急な斜面で滑落したり足をひねったり、手を痛めたり...)。
そして、初めてだから下手なのは当たり前だが、ゴルフで一番嫌われるしたのゴルファーに迷惑をかけるのが「プレーが遅いゴルファー」という事を覚えておく事。
「下手でも速ければ良い」のだ。
その為にはミスしたら照れたり誤摩化したりしないで、すぐに走って行って次を打つ事...この時には7番アイアン一本持って行けば良い。
ティーショットを打ったら、後は7番アイアン一本で打って行く...7番アイアンでも当たれば140~160ヤードは飛ぶ...これでも野球のホームランより飛んでいるんだって事を思い出せ。

バンカーに入ったらサンドウェッジを使って、先日書いた奥の手を思い出せ。
そして出なかったら、手でグリーンに放ってやれば良い。
後ろを待たせるよりこの方が気楽だし、本気でゴルフをやる気になって来たらまた試してみれば良い。
グリーン上では、自分がグリーンに上がる時に見ればボールとグリーンの傾きが大体判るだろう。
だからテレビの真似をしてラインを読む振りなんてしなくていい。
サッと構えてサッと打て...どうせ一度で入る訳無いんだし、打っているうちに感じが判ってくるだろう。
カップインしたらすぐにグリーンから出て行く事。

一番先に言うべきだったが、スコアは記録しちゃいけない。
スコアをつけるのは、ちゃんとしたゴルフをする時まで待つ事。
今日大事なのは、この「ゴルフみたいなもの」を自分がどう感じるかということ。
いくら当たらなくても18ホールまわるうちに、一回は「え?」という当たりが出るはずだ。
手に残る意外に軽い感触...ふわっと宙を飛んだまま、なかなか落ちて来ない白いボール...白い糸の様な残像を残して、今までよりずっと遠くまで飛んで行ったボール...そんな事が一度くらいはあったはず。
その飛距離は、多分今までキミが自分の人生の中で自分の力で一番遠くにものを飛ばした距離だ。

...350メートルくらい先にある、直径108ミリの穴に平均して4回であのボールを入れるのがゴルフ...そんな奇跡みたいな事を練習すると多くの人が出来る様になるのって不思議だろう?

多分ドタバタで余裕も無く、自分の思っていた事の十分の一も出来なかった初ラウンドのはずだ。
その中で、少しでも「もう一度やってみたい」と思ったら、今度は本当のゴルフを楽しむ事を目指してみよう。
もしそんな気持ちに全くなれなかったら、キミはすぐにゴルフとは縁を切った方が良い...揃えたゴルフクラブのセットがいくらかでもの金になる事を祈る。

言い忘れていたけど、キミがゴルフ(みたいなもの)を経験したときに、自分の意識はボールを打っている自分にしかなかったろう?
ゴルフの醍醐味はね、あの飛んで行ったボールも自分だということなんだ。
君が打ったボールは、君そのもになって緑の野を横切り、風を切り、木や池やバンカーや、諸々の障害物を越えてピンを目指して行く。
失敗も多いし、とんでもないラッキーもたまにあるし、数多いアンラッキーを恨めしく思う事もある。
しかし、ティーグランドを飛び立ってカップに至る旅を、18回繰り返して行くとき...そこに人は人生に似た何かを感じる事が良くあるんだ。
それは力任せにボールをぶっ飛ばして、鬼の様な顔をして数字を小さくする競争をしている、あのテレビに映る面々がやっているものとは違う「我々のゴルフ」なんだ。

この「そこの若いの!」は、どんな人生であろうと、そんな事を感じる事が出来るこのゲームを経験しないで終わるのは勿体ない...そんな気がするおせっかいジジイの戯言なんだけど。
...どう? やってみない?