ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

「出すだけ」にしておけば良かった、と・・・

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「バンカーで欲張ってミスをした後で、「出すだけ」にしておけば良かったと、何度後悔した事か」...リー・トレビノ。

リー・トレビノは、「スーパーメックス」とあだ名されたメキシコ系アメリカ人。
メジャー6勝、米ツア-29勝、その他で60勝を誇る名手。
ニクラス全盛時代に、ニクラスとも何度も名勝負を繰り広げた。

持ち球はコントロールされたフェードボールで、小技やパッティングの名手として知られた。
彼はフェードボールの名手という事で、勿論バンカーショットの名手でもあった。
そのリー・トレビノが、得意技とも言えるバンカーショットで、こんな言葉を残しているのだから面白い。
彼にとって、バンカーが高かろうが、ピンまでの距離が近かろうが遠かろうが、なんの問題もなくピンに寄せる事ができるように思えるのに...
その名手にして、数々の悔いのあるバンカーショットを経験してこう思ったと言うのだ。

我々にも思い当たる事は山ほどあるだろう。
いわばビギナーの「出すだけ」しかないレベルから、とりあえず「出す」事に自信がつくと、次はピンの位置を気にしてバンカーショットをするようになる。
レッスン書にだって、バンカーショットの方法として「転がす」「止める」ショットの方法は出ているし、やってみるとなるほどこれなら出来るとか思えたりする。

...しかし、実際のラウンドでそれをしようとすると、まず失敗の記憶しか残らないだろう。
特に、気合いを入れて望んだコンペとか、緊張した競技のラウンドとかでは上手くいく方が稀だと思う。
理由は簡単。
我々普通のゴルファーには、絶対的にバンカーショットの経験が足りないのだ。
普通は多い人で週に一度、普通は月に一度か二度のラウンド中にしか経験できない。
その偶のラウンドだって、バンカーに入るのは2~3回あるかどうかだろう。
下手すればバンカーインは1回も無しって時だってあるだろう。
とすれば、我々のバンカーショットの経験なんて、年に20回もあるだろうか?
月一ゴルファーなら、ひょっとするとバンカーショットなんて年に10回もやってないかもしれない。
...そう考えれば、バンカーショットなんて出せるだけで大したものなんじゃない?

ちょっと上手くなると、「ピンが手前でグリーンが向こう側に傾斜している」なんて場合、グリーンエッジかカラーに落してトロトロと転がして寄せる、なんて事をしようとする。
あるいは、ピンはグリーンの向こうサイドで20ヤードくらい、グリーンは受けているので突っ込んでも大丈夫だから距離を出してピンデッドに行く、と考える。
で、結果はグリーンギリギリに落すつもりが、わずかにショートしてまた同じバンカーに逆戻り、おまけに自分の足跡にイン。
あるいは、ほんの少し薄く入って、ピンデッドどころかキャリーでグリーンを越えるホームランで、向こうのバンカーに入って目玉、とか。
...そしてそれがきっかけで二桁の大叩き...

そんな経験誰にでもあるんじゃないか?

トレビノほどの名手が、「出すだけで良かったのに」と後悔するバンカーショット。
後悔する前に、グリーンの何処にでも「出して乗せられれば大成功」と考えよう。
出来るならグリーンの真ん中に行けば最高だ、と。

グリーン方向が難しいと思ったら、後ろや横に出せればこれも大成功。
一番やってはいけないのは、バンカーの中で2度も3度も4度も打つ事。
そうなるとどんどんライが悪くなって、どんどん難しいショットになって行く。
...出せる方向に1回で出す事、それでよしとする。

ただね、無理しなくちゃなんの意味もない、なんて時はやってみるのもしょうがない。
「ゴルファーには、行かなきゃならない時もある(笑)」。
だって、いい年した大人が本気で遊ぶゲームだからね。

ただし、その場合、失敗しても絶対後悔しない事。