「パットでは、打ってから13センチは打とうとする方向に真っすぐヘッドを動かせ」...ジャック・ニクラス。
ジャック・ニクラスと言えば、メジャー18勝、PGAツアー73勝を誇るゴルフ界の「帝王」。
ゴルフを楽しむ人なら誰でもが知っている巨人。
そのニクラスのショットの正確さは、ニクラスの唯一の弱点が「アプローチショット」だと言われているが、その原因が「殆どグリーンを外さないので、アプローチをする必要がなかったから」という事から想像できるだろう。
しかしロングヒッターであり、ショットメーカーでもあったニクラスが、パットの名手でもあったという事はあまり知られていない。
ゴルフというものは、マスターズでも全英オープンでも見ていて判ると思うけれど、どんな名手でも毎ホールベタピンの1メートル以内のショットを打ち続けるなんて事は出来ない。
結局勝負はワンピン前後の距離を入れたものが上位に行き、外したものは下位に低迷する。
ニクラスは、この距離が強かった。
だから、あれだけの結果を残し得たとも言える。
そして強いゴルファーが消えて行くときは、この距離が入らなくなった時(今のタイガーに以前程の強さが見られないのは、この距離が入らなくなったからだと思う...決してショットが悪くなった訳ではない)。
ただ、ニクラスのパッティングスタイルは彼だけのもので、我々が真似するにはちょっと難しい。
使っているパターは古いL字のパター。
だからこそ、この言葉が面白い。
通常、L字パターはインサイドインに動きやすい。
開いて、閉じて、という動きだ。
開いてテークバックして、インパクトでスクエアになり、フォローで閉じて行く。
それが自然の動きなんだけど、そういうパターを使っているニクラスが「インパクトから13センチ打ちたい方向に真っすぐ動かせ」というのは、我々にも役に立つはず。
今現在多くのゴルファーが使うパターは、ピン型かニューマレットと呼ばれる重心深度の深いパターだろう。
そういうパターの特徴は、ヘッドを真っすぐ動かしやすいこと。
ただ、そういうパターを使っている人が陥りやすい欠点が「テークバックを真っすぐに引く」という事に集中してしまう事。
身に覚えがある人が多いと思うが、パターを構えてテーックバックし始めた時、ボールではなくパターの動きを見てしまう人が多い。
真っすぐ引けたか気になって、パターの動きを目で追ってしまうのだ。
これが間違いなのだ。
勿論テークバックを真っすぐ引こうというのは、間違ってはいない...しかし、大事なのはインパクトとフォローの方なのだ。
それをニクラスが言っている。
「インパクトから13センチを真っすぐ」
それに集中する。
くれぐれも、「バックスイングからフォローまで、パターの動きを目で追い続けてボールを見る事を忘れてた」なんて事にならないように。
振り上げたら一瞬で振り切るショットの時には、ボールは何となく見えていれば良いとも言えるけれど、パッティングのようなゆっくりとした動きの時にはこのニクラスの言葉を思い出して「打ってから13センチ真っすぐ」を意識してみよう。
多分、パットがもっと入るようになる。