ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

スライサーとフッカー2....見栄を張らない

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「持ち球」って言うのは、自分が普通にスタンスして「真っすぐ打つつもりで」何も考えずにフルスイングした時に出る球だ。
普通の「天才じゃない」ゴルファーにとっては、「悪夢のボール」とも言われている。
なぜなら、そのボールがとんでもないトラブルの始まりになったという記憶が、嫌と言う程積み重ねられているから....当然、それほど大馬鹿野郎ではない多くの善良で知的(だと思っている)なゴルファーは、それに対処する方法を勉強してそれなりに努力をしているので、アドレスしてから打つ迄に色々とチェックしたりワンポイントの修正を行おうとしているが、これがまた多くの場合もっと複雑で悲劇的な記憶を新しく作る一打となってしまう。
この悲劇の一番の原因は、「真っすぐ打とう」「真っすぐ打ちたい」という盲目的な願望にある。

ゴルフと言うのは、人間が自分の力で一番遠くにボールを飛ばせるゲーム...ドライバーを使えば殆どの人が200メートル前後は飛ばせる...こんな距離を真っすぐ飛ばそうと言うのがそもそも無理だと言う事を認めた方がいい。
誰でも「いや、自分は真っすぐ飛ばした事が結構ある」と言うだろうが、それは偶然であり偶々であリ、幸運であり、どうでも良い時のただの出会い頭の衝突なのである。
稀にあるラッキーなショットが印象深いので覚えているだけだ...その前後の無数の失敗ショットは(自己保護本能によって)忘れられている。
...自分が本当に心から望んでいた大事な時に、そんな風に飛んだ記憶ってあるかい?

ニクラスやベン・ホーガンだって、「真っすぐ飛んだのはただの偶然だ」と言い切っている。
だから、彼等ゴルフ史に残る名手やいにしえからのゴルファー達は「ボールは曲げて打て」との言葉を多く残して来た。
真っすぐ打とうとして曲ったボールよりも、曲げようとして曲ったボールの方が誤差は遥かに少ないし、自分が望まない所に行く確率は低い。

そして、「ボールを曲げて打つ」と言う事は古来よりその方法が確立していて、誰もがその通りに打てば普通に曲げる事が出来るのだ。
...テレビや雑誌で見かける有名ゴルファーの言葉には、惑わされないように注意しなくてはならない。
私が以前取材したプロの中にも、「ボールは、そう曲げようと思えば曲げられる」「努力すれば同じスタンスでドローもフェードも打ち分けられる」と言うものが何人か居たし、ジャンボ尾崎が「オープンスタンスでフックが打てて一人前」なんて言ったりしていたが...

こんな言葉を信じちゃいけない!
かって「そう思えばそういう球が打てる」なんて言ったのは、あのナチュラルスイングで有名なサム・スニードくらい...サム・スニードなら、そりゃあ自然にそういったボールが打てるだろうよ。
今のアメリカツアーでも、オープンスタンスのままでフックやスライスを打ち分けてるのはB・ワトソンやP・リードくらい。
かってマスターズで見た名手達でさえ...F・カプルスやニクラスのようなフェードヒッターはもちろん、T・ワトソンやG・ノーマン、T・ウッズのようなドローヒッターでさえあの15番の2打目で確実なフックボールを打ちたい時には教科書通りに、ボールを中心に左に回ってクローズドスタンスにして、フェースを目標線に向け、スタンス通りに振って行ってフックをかけて2オンしていた。

我々凡ゴルファーは、「スタンスをそのままにしてフックやスライスを打つ」なんて事は絶対にやっちゃいけない。
そんな事をすると、フックを打ちたい時にはシャフトがダダ寝して下りて、ダフりトップかドチーピンかプッシュスライス最悪シャンク、スライスを打ちたい時には右肩が飛び出て左肘が引け、やっぱりダフりトップかド引っ掛けついでにシャンクも飛び出す事になる。

私も才能無き凡ゴルファーを自覚する身、教科書通りにオープンスタンスにクローズドスタンス、格好つけずにボールの10センチ前後をスタンスと同じ方向に通す事だけ考えて曲げて行く。
フェースは常に目標に向けておけばいいが、当然クローズドスタンスにするとロフトが立つので1番手ないし2番手飛距離が出る。
逆にオープンスタンスにするとロフトが寝るので、1番手あるいは2~3番手は飛距離が落ちる。

大事なポイントは、絶対にこれでフルショットをしない事。
才能無き我々ゴルファーがフルショットなんてしようとすれば、前傾角度が崩れる・スイング軌道が狂う・フェースの向きが狂う、でスタンスの向きを変えた事なんか意味が無いスイングになってしまう。
必ず八分ショットで、インパクト前後をスタンス通りの軌道で通し、フィニッシュの形なんかも気にしなくていい。

慣れて来れば、こんなゴルフ(ボールを思うように操る)が面白い事がきっと理解出来る。
アイアンについては、やはりマッスルバックやフラットバックのアイアンの方がよく曲ってくれる...キャビティバックのアイアンは、どうしても「曲らないように」という力が働くので曲がりは少なくなる。

私は今の所フックの方は上手くいく事が多いが、スライスがなかなか思ったように曲ったり飛距離が安定したりはしてくれない。

...このあたりは、これから黒トップで修行するつもり。