ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

車語り(3)ランドクルーザーを手に入れた

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二人目の娘が出来るとき、3人乗りのジムニー360では間に合わなくなった。

少しあった貯金で手の届く範囲で、憧れのランドクルーザーBJ44を探し歩いた。
しかし程度の良いものはみんな高くて、とても買えそうも無かった。
そんなある日、浦和の近辺まで探しに行って、やっと手の届くランドクルーザーが見つかった。
3年落ちで5万キロ、150万弱。
それが高いのか安いのか...でも、探した中では一番安く、見た目も転倒や事故の形跡もなかった。
あとで奥さんも連れて来て、決定。
いろいろな経費も入れると200万くらいにはなったけれど、やっと手に入れる事になった、あの「憧れの」ランドクルーザー

乗っていたジムニー360は、下取りにもならないポンコツという事で、義弟へプレゼントした。

手続きを終えて、電車とバスでその中古屋に行き、初めて乗ったランクルは(試乗もしなかった)、座席はジムニーの倍程高く感じ、初めてかけたディーゼルエンジンはまるで爆発音のように聞こえ、動き出すために踏んだクラッチは信じられない程強いバネで、おまけにハンドルもパワーアシストが無いために、低速では気合いを入れないとピクリとも回らなかった。
...今思えば、全く乗った事がないこんな車を(車はジムニー360しか乗った事がなかった)、よく家まで無事故で持って来れたと思う。
ただ、公道を走り出すと、まるで戦車に乗っているような気がして、気持ちは良かった。
それでも、慣れていない車...ウィンカーを出そうとしてワイパーが動いたり、クラッチが踏み切れずにエンストしたり、ハンドルが重くて曲がりきれなかったり...家に着いた時には、全身汗びっしょりになっていた。

乗り馴れてくると、ジムニーに比べてパワーがあるために、車の流れに乗るのに不自由は無くなった。
しかし、パワーアシスト無しの信じられないくらい重いハンドルとクラッチは、渋滞などに巻き込まれると体力勝負の車である事を実感させられた。
(何度か運転したいという女性に運転させたけれど、クラッチが踏み切れなかったり、ハンドルが動かなかったり...)

そして、困ったのがクーラーが無い事。
足元に「蹴飛ばし」と呼ばれる、三角の窓があって、暑い時にはそこを足で蹴飛ばして開け、走行風を入れるようになっているのだが、真夏の舗装道路上は開けても熱風が入って来るだけで、かえって暑くなる代物だった。
クーラーは取り付けるのが高くて結局買えず、夏はTシャツの着替えを大量に用意して対処するしか無かった。
またエンジンの音も盛大で、走行中は普通の会話は無理。
怒鳴り合って話すか、信号で止まった時に話すしか無かった。

それでも、この「憧れの」ランクルは夫婦で大のお気に入りで、時間さえあれば、どこへでも出かけた。
ただ、子供を乗せるためには、このままでは使い難い事も良くわかった。

...1980年頃の、お話。