ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

最初の車 ジムニー360バン

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たまには違う話題を、という事で車の話でも。

免許を取ったのは遅かった。
貧乏暮らしだったので、車を持つとか免許を取るとかいう事は違う世界の事と思っていた。

運良く結婚する事が出来た女性も、「絶対に車を持つ身分にはなれないと思っていた」。

しかし、30前に娘が誕生する事になった時、考えを変えなくてはならなかった。
東京暮らしならともかく、家賃の安かったS県暮らしだと、いざという時に車が無ければ不自由な事が多かった。
それで30前に免許を取得...しかし、車を買う金が...

それに、それまで特に車に興味はなかったくせに、「車に乗るなら、何処でも走れる4駆に限る」なんて思い込みがあった。
そんなところで偶然見かけた、中古のジムニーバン360。
値段は何とか払える28万円。
4駆だし、雨風は凌げるし、見た目は奇麗だし...

一部ローンにして、この車を手に入れた時、うちの奥さんは「まさか、自家用車を持つようになるなんて思わなかった」と涙ぐんでいた。
手に入れたジムニーはかなりの中古で、見た目は奇麗だし、一応ちゃんと動いたけれど...
2サイクルエンジンというのは、ガソリンと2サイクル用オイルを混合して燃料にする。
そのために白い排気煙が盛大に出て、スピードは出ず、音はまるで小さなバイクのような「パタパタパタ」で頼りない事この上ない。
それに中型バイク並みのエンジンに、バンのために重量が重く、加速も燃費も良くない。
実際に道路では、最高速70キロオーバーがやっと。
遂に最後まで、高速道路を走る事は無かった。

ドライブに出かけた先で、もうもうと白煙を上げながら必死に上る坂道を、自転車に軽く追い抜かれた事が度々あった。
内装は、本来の後ろの折りたたみ椅子が、小さな革製の椅子に変えてあり、そこに娘の布団を敷いて寝かせて旅をした。
4駆を過信して、ノーマルの鬼タイヤで冬の日本海まで無謀な雪山越えをしたのも、あとで思うと「よくもまあ、生きて戻って来られた」というもの。

雨が降るとよくエンストした。
プラグを拭いたりいろいろしてもダメなときは、坂道をエンヤコラと押し上げて、下り坂に向かって車を押す。
動き出して加速がついたところを追いかけて、必死に飛び乗ってすぐにギアをローにぶち込む。
殆どの場合は、それで「バン!」と音がしてエンジンが始動する。
そんな事が旅先でもよくあった。
横で見ていた通りすがりの子供に、「超人ハルクみたい」と驚かれたりしたけど。

...二人目の娘が出来た時、この車が3人乗りだったために手放す事になった。