ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

最初の車 ジムニーの思い出あれこれ

写真整理から始まった、我が家の車の思い出...他のことを書くつもりだったけど、ついでのついでで忘れないうちに書いておこうという気になった。

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それでも、今のところジムニーの写真がこの時に背景に写っているもの以外に見つからない。
なので写真は似たようなものだけど、このジムニーについて記憶に残るエピソードをいくつか。

まず、このジムニーの色だが、中古で買った時の色は黄色(どちらかというと黄土色に近い)だった。
日光街道沿いの中古車ショップに雨ざらしで置かれていて、黄色とは言ってもその色に既に輝きは無く、全体に色褪せていた。
買って乗っているうちにも、どんどん色あせて汚い黄色になって行くので、ある日思い立って自分で色を塗り替えることにした。
近所のオートショップでスプレー缶の塗料を数本買って来て、見よう見まねで新聞紙でマスクして塗り始めた。
色は地味な茶色にするつもりだったが、塗り始めてスプレー缶の量が足りなくて、全体をしっかり塗る量はとても無いことがわかった。
でも、「やり始めた以上買った分だけは」と適当にぐるぐると薄く全体を塗っているうちに、元の黄色の上に吹き付けた茶色がまだらになって、ちょっと見で「銅製のヤカン」のような変な色具合になって来た。
「あれ? 意外と面白いや」と感じて、そのまま全体をぐるぐると薄く塗っていくと、まるで車全体が銅で出来た様な不思議な感じになり...写真のような具合となった。
この色は何処に行っても不思議がられ、「売ってくれ」という人まで何人も出たっけ(笑)。
ジムニーの写真は他にないと思っていましたが、先程古い埃をかぶったアルバムの中から、ジムニーの色を塗る前の写真を発見しました!
早速この写真をブログに載せます。
もともと写真整理から始まったこの話、こういうことがまだありそうです。)

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,,,この車には、シートベルトが付いてなかった。
まだ道交法が改正前のものだったためか、シートには何も付いていず、結構揺れる車の中で身体が安定しないのは運転しづらかった。
当時のジムニーという車は、あくまで乗用車というより作業車のセッテイングのために、悪路に強いのはいいが人に優しくない。
乗っていると悪路ではよく跳ね、揺れるので、シートベルトが無いと座席に落ち着いて座っている事が非常に難しい。
俺は体が大きいために、座るとあまり体と車体の間に余裕がなく、横に揺れれば肩がピラーにぶつかるし、ちょっとの凹凸でジャンプしても頭が天井にぶつかった。
それが見えていれば、肩をすくめ身を縮めて衝撃を和らげることが出来るが、気がつかない凹凸で急に跳ねたりすると本当にたまったもんじゃない。
思わぬ時に跳ねた車体の中では、体が浮き上がって避けようもなく頭を天井にぶつけ、歯が「ガチン」とアッパーカットで殴られたような音を立て、目から30センチも火が出て目の前が真っ白になる...すぐに急ブレーキを掛けて車を止めて、両手で頭を抱えて唸り声をあげて痛みに耐える...なんて事態に何度もなった(ヘルメットしたほうがいいかも、なんてマジで思った)。
いつもその後、頭にはコブが出来、奥歯がグラグラしていたっけ...

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2サイクル2気筒のエンジンは実にシンプルな作りで、雨の中エンストするたびに来てもらったJAFの人の修理はわかりやすく、あちこちチェックしたり、プラグを交換したり拭いたりする作業はすぐに覚えることが出来た。
一通りの作業を覚えると、ほとんどが自分で出来るのでJAFを呼ぶことは少なくなったが、どうしてもエンジンがかからない時の「とっておき」の方法が「おしがけ」。
傾斜のある道の坂の上まで車を押し上げて行って、坂の上から押して加速をつけて行き、少し勢いがついたところで車に飛び乗り、エンジンを掛けながらいきなりローにぶち込むのだ。
大抵はこれでかかったが、ジムニーを一人で坂を押しあがって行く姿は色々な人に驚かれた(若かったよなあ...)。
(こんなことで覚えた修理のあれこれは、次の車がディーゼルエンジンだったため、ジムニー以降は全く役に立たなかった。)


しかし、このジムニー...今になって写真を見ていると、「この娘や奥さんを優しく見守っていてくれてるみたいだな」、と感じる。
初めて自分が得た「長距離移動手段」の車...
俺にとっては、機械というより生き物に近いと感じる感覚があったんだよな。


その後、ランクルを買った時には、この車は下取りするほどの価値もないと言われたので、うちの奥さんの妹夫婦にプレゼントした。

そのまたその後、義弟は仕事の付き合いのあるデザイナーに「ぜひ譲ってくれ」と言われて売ったとか。

そして、そのまたその後のその後、このジムニーは山を走っている最中にエンジンが焼き付いて、そのまま廃車になったとか...