ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

道を読む人

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Mさんのゴルフ歴は、ほぼ40年になる。

その40年の間に、ドライバーやアイアン、ウェッジなどは数えきれないくらい買い替えて来た。
しかし、Mさんはパターだけは一度も変えずに同じものを使い続けている。
そのパターは、当時ゴルフに熱中していた叔父からプレゼントされた、ピンアンサーのカースティンCo。
特に高価で珍しいものではないが、安物でもないと言われたものだった。

40年の間、それなりにゴルフに熱中して、時間も金も使って来たけれど、Mさんの腕はそれほど上がった訳ではなかった。
もう20年近く前にクラブハンデが10になってから、ずっとそのまま。
もっとも、あまり下がることのないクラブハンデだから10だけど、近頃のスコアをJGAハンデで計算したら17ー18くらいになっているはずだ。
腕が上がらなかった原因は、パワー不足....身長が170センチに届かないMさんは、飛距離が絶対的に足りない、と思っている。
いろいろと身体を鍛えようとした時期もあったが、それで飛距離が延びることはなかった。
ドライバーで180ヤード程...殆どのホールでパーオンすることはない。

しかし、Mさんがゴルフの情熱を燃やし続け、またMさんのゴルフがそれなりに周りに認められているのは、グリーンに乗ってからが凄かったからだ。
ワンピンならほぼ100パーセント入れる。
10メートルでも、半分は入れる。

Mさん自身、ゴルフを始めたときからパットは得意だった。
叔父から貰ったピンアンサーは、まだビギナーのときから自分の願いを良く聞いてくれた。
まるで、自分の手で打つように、ボールをカップに向けて転がしてくれる。
ピンアンサーを持って、腰を低くしてラインを読むと、ラインが決まるとピンアンサーが「よし、それでいい」と答えてくれるのだ。
そうして気持ち良く意見が一致したパットは、自分が打ち損じない限り、まず入る。
はじめは「まぐれだ」と言っていた仲間も、今ではMさんの神懸かり的なパットの上手さだけは認めている。
残念なのは、そうしたパットが殆ど「パーパットやボギーパット」であるということ。
Mさんだって、「パーオンしていればバーディーや、もっと飛んでいればイーグルだって沢山とれただろうに..」とは思うんだけれど、そう上手くは行かないのがゴルフなんだろう。

パターは、何度か最新の人気モデルを借りて使ってみたけれど、どれを使ってもピンアンサーのように読んだ道に答えてくれるものはなかった。
...Mさんは残りのゴルフ人生も、この1本のピンアンサーと共に過ごすと決めている。

ただちょっと心配なのは、最近老眼と乱視が酷くなって、ボールとカップの関係が良く判らなくなって来ていること。
だから、「このラインだろう」と思ってピンアンサーを構えても、ピンアンサーが「その道じゃあない」と納得していないような気がすることが多くなった。
そんな時はまずカップインできない。
ピンアンサーのためにも、老眼と乱視を矯正するゴルフ眼鏡が必要と考えている今日この頃だ。