ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

別れ

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長く生きているということは、こういう場面を積み重ねて行く事なんだとしみじみ思う。

随分長い時間、自分にとってのちょっと特別な「居心地の良い」飲み屋だった御徒町の「ゆうかり」が12月で店を閉めるという事を昨日知った。
沢山の人が入れるお店ではないが、特別高くはなく,静かな大人の雰囲気で,同じ世代のおやじさんとパートの京都出身のお姐さんが,実にゆったりとしたいい雰囲気を出していた。
特にこの店に私が魅き寄せられるきっかけとなった能登純米酒「竹葉」は、他の店では飲む事ができない大好きな酒だった。
20代の頃に酒好きの人から教わって、一時は酒造元からケースで取り寄せて飲んでいたくらいの酒で、不思議な事に都内で置いてあるところが見当たらない...

最近は東京に出る機会が少なくなって、あまり頻繁には行けなかったんだけど...そんなに急に店が閉まる事が決まるなんて...

もう何年も前から「行きつけの店」がなくなってしまう場面を経験している。
有楽町の裏の焼き鳥屋、新橋のおじいちゃんがやっていた小さなビアホール、唎酒師がやっていた地下の店、話し好きのおやじがいたおでん屋...等々。
考えてみれば、同じ店に10年も20年も、店によっては30年も通い続けていれば、自分が年をとるのと同じようにお店の主人も年をとっている...そうして、通い始めた時には殆どの店の主人は年上だったんだから、後を誰かに継がせなければ店を閉めてもしょうがない年になってしまったんだよなあ...

自分の気に入った「居場所」がこうして減って行くのが、「年をとる」って言う事なのかもしれない。

最近はずっとお気に入りだった「ゆうかり」は、旨い酒と新鮮な肴が自慢の店だった。
とぼけたおやじが出してくれる「青魚の刺身」と「竹葉」は実に旨いものだった。

今回の閉店は経営会社の判断で、店の実績とはあまり関係ないらしいから...余計に残念だ。
ここがなくなると、また寂しい時間が多くなる。