ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

また、一つの別れに

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少し長い時間、帰り道で殆ど毎回立ち寄っていた店が今日で閉店する。
客席は8席。
カウンターだけの小さな居酒屋だった。

もとはと言えば、「竹葉あります」の張り紙に惹かれて立ち寄った「ゆうかり」。
竹葉を飲むために通ううちに、おやじさんと自然な会話をするようになり、週の半分来る京都出身の「まるで竹久夢二の絵のモデル」のような雰囲気の姐さんのファンになり...

一年を通して竹葉に合う青魚を楽しみ、気に入った人々を連れて行っての酒を楽しみ、何度か顔を合わせるようになった常連の人との会話を楽しみ、あるいはただ静かに放っておかれて飲む酒を楽しみ、悔いのある事柄をしでかしちまった自分を見つめ直したり、ただ空元気のもとがたまるのを待っていたり、やせ我慢出来た自分を褒めてやったり....そんな場所となった。

いつの間にか自分の歩く道に必要な「居場所」になった店は、いつも「ずっとそこにあるだろう場所」だと勘違いしてしまう。
今まで何度もそういう「居場所」との別れを繰り返して来たのに、学習能力のない俺はまたここで別れがやってくると、ただ呆然としてしまう。
...思うのだ...ここが「居場所」になるまでに、結構時間がかかったことを。
そういう居場所がすぐに簡単に見つかるものではない事を。
それはまるで女性との出会いにも似て、偶然と幸運とタイミングの全てが揃わないとただ通り過ぎてすれ違うだけで終わってしまう。

今日で終わる店に、昨日の夜お別れに行って来た。
特別に取って置いてくれた、最後の竹葉を頂いて別れを告げた。
おやじさん、姐さん、居合わせた常連の顔見知りの人々、グッド・ラック。
今まで、沢山のいい時間をありがとう。

しょうがない、今日からは「居場所」の一つ減った日々を歩き始める。