ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

ゴルフ..人生

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前の日には、初デートの前の日の少年のように、やっぱり普通には眠れない。
速く布団に入ったって、酒を飲んだって、いつものように眠れるわけがない。
結局いつも寝不足のままで家を出るんだけれど、決して不快な訳じゃない。

「さあ、これから人生が始まるぞ!」みたいな、「無謀な期待」と「根拠のない自信」と「妄想の如き夢」で一杯になり、少年のような気持ちで家を出る。
スタートホールに立った時のときめきは、それこそ初デートで相手を待ってた少年の時の、あの気持ちとおんなじだ。

しかし、人生は過ぎて行き...すぐに人生の真実を、自分のゴルフの実力を否応もなく知ることになる。
人生は、ゴルフはそんなに甘くはない。
ハウスで昼食をとる頃には、ある種のあきらめと悟りの境地に入り込み、過ぎにしハーフの「スコア」ではない「なにか」の意味を見つけようとする...か、言い訳を懸命に考える。

人生は短い...それでも残りのハーフは生まれ変わったつもりで、と気持ちを奮い立たせてプレーを始める...が、ゴルフの女神の振るサイコロ次第で、ほんのたまに成り上がって一時の享楽を味わうか、いつものようにリストラされて己の人生を呪うかしてラウンドが終わる。

家に帰り着く頃には、大概80を過ぎた老人の気持ちでドアを開けることになる。
妻は、そのあまりの年老いた疲れた姿に驚き、理解して迎え入れてくれるか...「あら、またダメだったの?」と冷たく無視してくれる。

全てを放り出して、布団に潜り込み人生の終わりを迎える...呪いの言葉を呟きながら「もう2度とゴルフなんか、やるもんか!」

...昨夜とは全然違う深い眠りから覚めてみると、自分が生まれ変わったように感じる。
昨日受けた深い傷の数々は、嘘のように治りかけていて、かすかに記憶の片隅に残るだけになる(俺はなんて運が悪かったんだ、ゴルフの女神の気まぐれのおかげでえらいめにあったな)...

三日経つと、また気持ちはデートを待つ少年と同じになっている...この前とはちょっとあれを変えたし、今度こそ上手く行く...