今日はうちの奥様の誕生日。
写真は30年以上前の、うちの娘たちが一番可愛かった時のもの(あくまで俺の主観ね)。
この写真の時代、二人の娘と手を繋いで夕焼けの空の下を散歩していた時、「ああ、この瞬間を俺は死ぬまで忘れないだろうなあ」とはっきりと感じた一瞬がある。
その時なぜか強烈に、「今この瞬間を俺の一番幸せだった時間としてはっきり記憶しろ、自覚しろ」と自分に言い聞かせていた...その時感じたそんな「予感」みたいなものの通り、やっぱり今になってもその瞬間は「本当に俺の一番幸せな時の記憶」として、色褪せずに存在している。
...そんな時間を俺にプレゼントしてくれた奥様の、今日は誕生日...年を数えるには多くなりすぎて、もう幾つだか思い出せないくらいだが。
絵を描き始めてからすぐにこの女性に会う事が無かったら、俺は今頃はこの世にいないか、段ボールハウスに呑んだくれているただの落ちこぼれ老人だっただろう。
女性にモテたという記憶の無かった俺にとって、なんで俺と結婚する気になったのかさっぱりわからない女性だったが、彼女の家庭が複雑で義母に育てられた環境と言うのも早い時期の結婚に至った動機らしい。
全くスレていない(が、覚悟の座った)真っ直ぐな女性と、生まれた子供が欲しかった「娘」二人、というのは俺にとって本当に幸運だった。
(息子というのは、俺に似たら嫌だったので望んでいなかった)。
そんなことになったから、俺は真面目に働くしかなかった。
忙しい割に稼ぎはそれほど多くならず、生き延びるために選んだ道も正解だったと思うが耐えなきゃいけない事も多かった。
「モテ期」らしきものもあったかと思ったら、その殆どはうちの奥様が原因という事で「まあ、そんなもんだよな」で年を重ねて月日が過ぎた。
それでもなんでも、この年までほぼ「まっとう」に生きて来られたのは奥様のおかげに間違いない。
もしも道が違ったら、俺は仕事もろくにせずに道端で飲んだくれて、行き倒れていたのは間違いない。
なので、俺は一杯飲みながら、奥様にひたすら感謝して...今日を過ごすことにする。