ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

タイガーの落日

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タイガー・ウッズと言う、ゴルフ史に残る天才ゴルファーの落日をこんなに早く見ることになるとは正直思っていなかった。

マチュア時代から名前の知れ渡っていた天才ゴルファーは、黒人とアジア人の混血と言う事でずっと注目していた。
プロデビューした1996年の最初に勝った試合から見ていて、1997年にマスターズ初優勝、そこからの11年間でメジャー14勝を積み上げた。
その間...1996年から2009年迄の13年間でPGA70勝を達成したが、タイガーはそこで終わった。
その後優勝数は79迄伸びたが、もう全盛期の強さとは別のタイガーのゴルフだった。
その時まだ年齢は34歳、普通ならそれから10年はまだ「脂が乗った」状態の円熟期のゴルフが見られる年齢だったのに。
つまりタイガーがタイガー「らしく」活躍したのは、たった13年間!
圧倒的強さを誇ったゴルファーとしては、あまりにも短い輝きだったとも言える。

その短さの原因は、あの人間離れした激しいスイングの負荷に生身の体が耐えられなかったという、膝や背中の怪我もあったが...私は、その女性スキャンダルの数々だったと思う。
少なくとも(多少の怪我はあっても)、あの奥さんにぶん殴られそうになって車で逃げた事件迄は彼にはオーラがあった。
あの事件の後、タイガーに言い寄られた・寝た・金を貰った...等々の浮気話を少なくはない数の女性達が暴露した。
この(一説には金目当てと言われている)言い寄られたと言う女達が、ちょっと酷かった。
「これなら天下のタイガー・ウッズが言い寄ったはずだ」と納得出来るような、魅力的な女性は皆無だった。
あまりにも手近で簡単そうで、お手軽に安い金で済みそうな女達...おまけにその言い寄る言葉迄録音されて暴露されて、タイガーの台詞のその下品さ、安直さ、ケチさまで世に知られてしまった。

この事件でタイガーのプロ達への、「相手を圧倒するオーラ」が無くなってしまったんだと思う。
それ迄、その実績に神のように見えていたタイガーが、「あんなつまらん女性に言い寄り暴露されるただのつまんない男だったんだ」..と。
それ以降、タイガーと一緒に回る若手達がタイガーを恐れて自滅しなくなった。
タイガーをゴルフのスーパーマンではなく、つまんない女に手を出すゴルフの上手いオッサン程度に見るようになったのではないだろうか。

はじめは、逆境に逆らって時代を作って行く、若いタイガーを応援していた。
しかし、誰もが認めるチャンピオンになってからの、自分本位のパフォーマンスには嫌悪感を覚えた。
勝つ度の派手なガッツポーズや大騒ぎが大嫌いになった。

あのスイングだから、参考にはならず、近い将来の故障は予測していた。
しかし、若いスイングが出来なくなっても、30代半ばからは違うゴルフでまた一世を風靡する記録を残せるだろうとも思っていた。
フルショットをしない老練なゴルフをするタイガーなんてのも、魅力があるかもしれないだろう?


結局、タイガーは女で失敗した。
大恋愛ではなく、あまりに手近で楽なアプローチをしようとして失敗した。

今のタイガーのゴルフの一番の問題が、アプローチイップスである事は皮肉なモノだ...