ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

本当に欲しいのは...

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やっとお金を貯めたとき、やっと本当に欲しい車を手に入れる事が出来るという時、選ぶ車にその男の生き方が現れて来ると言う。
定年になってまとまった金が入って、家族の為ではなく自分の為に欲しい車を手に入れる事が出来る時、フェアレディZとかスカイライン系のスポーツカーを買った人間を何人か見た。
恥ずかしそうに、でも誇らしげに「昔乗りたかった車」に乗り込む姿は、やっと長い間欲しかったオモチャを手に入れた子供の様で、「男ってのは...」なんて思わず笑ってしまう。

もちろん若いうちから外車のスポーツカーを乗り回す人達も、それはそう言う生き方を出来る人達なので「あり」だろう。
いけないのは「家族の都合」や「経済的な理由」が無いのに、無難なファミリーカーを選ぶ男(これは非難を覚悟の「暴言」です)。
奥さんや娘が頻繁に使うため、「運転がしやすく安全な車」として選ぶならそれはしょうがない。
しかし、「たまに家族を乗せるけれども殆どは自分が運転する」なんて立場の男が、ただ安いだけで無難だと言うだけで、あるいは沢山売れているから、と言う理由で車を選んではいけない。

車を買うと言う事はかなり高額な買い物をすると言う事...そういう場合は少しでもその男の美学なり信条なりが投影されたものを買うべきだろう。

ずっと以前、中古の箱形・パワーアシスト全然無しのランクルBJ44に乗っていた頃、打ち合わせで会った編集者に「初めてお会いするのに、クリエイターであるあなたがファミリアやカローラに乗っていなくて安心しました」「車って高い買い物なので乗る人が判ります」「このランクルにはあなたの生き方や美学が現れています」と言われた事が忘れられない。
自分ではランクルのBJが好きで乗りたくて乗っていただけだが、車に乗ると言う事はそう言う見方をされるものなのかと強く印象に残った。

今、多分人生で最後に乗る車を選ぶにあたって、多くの中高年の男が本音で自分の好きな車に乗ろうとしている(その年で車が買える人達は恵まれた人生の人達なんだろうけど)。
そして、その選ぶ車が二通りに別れているのが面白い。
一つは、そのスポーツカーのように「昔乗りたくて乗れなかった憧れの車」。
そしてもう一つが「ゆったりとしたワンボックスやキャンピングカー」。

これはどう言う人達なのか考えていると、最近道の駅で車中泊している沢山の同年輩の男達が思い浮かぶ。
軽のワンボックスや普通のワンボックスを自分で、快適な眠りを得られるように改造している男達。
キャンピングカーでなくても、自作のベッドや生活のしやすい設備を自分で作っていて、その車で旅をしている。
残念ながらそう言う男達の殆どが夫婦ではなく男一人の旅をしている所を見ると、こんなスタイルの車に乗る事が決して家庭的だとか家族優先と言う訳ではないのが判る。

つまり、男の好みだけで「人生最後の車」を買う時には、「スピードと運転する快感を大事とする男」と「流れて行く旅を楽しむ男」に分かれると俺は感じている。
...面白い。

俺の乗っている2代目のキャンピングカーも、もう10年を軽く越えているし小さく狭く車内の余裕が無いので、もう少しゆったりとした車に買い替えたい。
例えば海辺や山や林の中で、ゆっくりと珈琲を飲む空間が欲しい。
ただ、今の稼ぎではとても買い替える余裕は無いので、ロトが当たるのを待つばかり(笑)。

今の若い人達は、経済的事情で車どころか運転免許も持たない人が増えていると言うので、こんな話も関係ないんだろうけど...。


さて、人生最後の車を買うとしたら、貴男はどっちを選ぶんだろう?