ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

「最後の車」をどうするか?

都内の渋滞の中を走りたいとは全く思わないが、車の運転は好きだ。

俺は車を持った最初から、スピードとスタイル中心のスポーツカータイプの車には全く興味が無く、また人気のある「外車」というものにも全く興味が無かった。

娘が生まれて必要になってとった免許だったが、その最初から運転したいのは「4躯」しかなかった。
当時世間ではまだ、「4躯」というのは「土木作業専用車」としか見られていなくて、頑丈さと悪条件に対する踏破性能のみが重視されていた時代。
このタイプの車を個人で(自家用車として)好んで乗るのは、ごく少数のマニアだけだった。

金が無くて最初にやっと買えた4躯、360ccジムニーでも山を走ったし車中泊もした。

二人目の娘が出来て、乗車人数の関係でやっと買い換えた中古のBJ44ランクルは、買ってすぐにキャンピングカー製造の会社に頼んで後部座席をベッドになるように改造してもらった(ウレタン製で親子4人が寝れた)。
このランクルでは、秘境と言われた山奥の温泉や景勝地に数多く出かけた...もちろん基本は車中泊で。

上の娘が小学校を終わる頃、借金までしてやっと買ったのがいすゞエルフ1.5トントラックベースのフル装備のキャンピングカーで、少なくとも20年以上、20万キロ以上は楽しもうと思っていた(一生モノのつもりだった)。
なのにこのキャンパーは、理不尽で不公平なディーゼル規制の為にたった10年で強奪されてしまった。

もう金も無いのに、キャンピングカーの無い暮らしにも耐えられない、ということで中古で手に入れたのが、今も乗っているステップワゴンのキャンピングカー。
それがもう20年経って、走行距離も15万5千キロを超えた。
まめにオイル交換は欠かさず、車体チェックや車検は知り合いの修理屋さんに頼んでやって貰っているが、最近は色々と小さな音が車から聞こえてくるようになった。
山の狭い道での無理やりUターンの時に、崖にぶつけて凹ませた後部ドアとか、パンクした時にこすった下側の凹みとか...もう何年も前から剥げて来ている屋根の塗装とか、外見は本当にボロボロなっている。

...そこで、うちの奥さんが「あと何年運転して楽しめるかわからないんだから、安いキャンピングカーでも見つけて買い換えたら?」と言う。
「多少ならそのために貯めたへそくりもある」と泣かせるセリフも言ってくれる。

で、考える...俺が元気でしっかりしていられるのはあと何年だ?
ドライブを、車中泊を、旅ゴルフを楽しめるのはあと何年だ?

昨年は、何度か近くの中古キャンピングカー売り場を奥さんと二人で訪ねた...しかし、車の性能と室内のレイアウトで「今より広くて使いやすいもの」は、いずれも年式・程度の割に高すぎた。
例えば、室内レイアウトが気に入ったハイエースベースのキャンパーは、売値が400万弱。
年式はステップワゴンと同じで、同じような走行距離で、だ。
試しにうちのステップワゴンキャンパーの「下取り価格」を出して貰ったら...........なんと、5万円!だって(笑)。
たったの5万円!!...同年式の同走行距離のハイエースキャンパーが400万弱なのに、うちの車は5万円!と言うのを聞いて、即撤退(笑)。
(まあ、外見がボロだからしょうがないとは思うんだけどね)。

居住性能については(つまり停まった後の状態、ね)ハイエースキャンパーの方が上だと思うが、運転性能とその快適性なら、前タイヤの上に運転席のあるハイエースより、前後のタイヤの中間に運転席のあるステップワゴンの方が上だと俺は思っている(これは同タイプのいすゞエルフの経験で感じている事)。

それプラス、特に今は新車の納車期間が部品の調達の都合でひどく長くなっているというので、中古車の価格が上がっているらしい。
どの中古車も、一昔前のキャンパーの新車並みの値段をつけていて、とても手が出るものではない...それなら買い替えにかかる費用を、オンボロキャンパーで出かける際の旅の費用として使えば、きっと俺たちは死ぬまで(運転出来なくなるまで)十分に楽しめる。
...そういう結論に達した。

こういう車とのお話は、なんとなくずっと続くような気がしていたのに、いつの間にか「あと何年?」を気にするような話になっていたんだなあ。


あ〜あ、どっちにしたってちっぽけな人生、悔いの少ない様にしたいもんだよな。