ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

電話

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ある日、ケータイ(と言ってもiPhoneの5sだけど)が鳴る。

「オレだけど...」
今はケータイに相手の名前が表示される場合が殆どだろうからいいけど、登録してないのに「オレ」で判ると信じているこいつが凄いな...昔(名前の表示が出来るケータイの無い時代)、「アタシ」でかけて来た女に「なんでオレがあんたをアタシで判ると信じているんだよ!」なんて呆れた事もあったっけ。
まあ、この男は日頃から酔っぱらっている様な話し方なんで、すぐに判る事は判ったが。

「退院祝いで一杯飲もうよ」
「いいね、手術して1ヶ月以降なら何時でもいいよ」

「じゃあ、XXのサイゼリアで飲もう」
「え? サイゼリア? あの若い人に安いと評判のファミレスの?」

「そうだよ、俺は退職してからあそこで飲んでんの」

...長い付き合いだったこの男、以前会社に居た時には、飲むのはいつも小さな隠れた「腕のいい料理人」の居る小料理屋。
お品書きに値段が書いてなかったり、最低値段の摘みが1000円以上だったり...
オレの行く様な赤提灯の居酒屋をちょっと馬鹿にしていたっけなあ。
明るいうちの一杯は、「そば屋で一杯」と決めていて(そのそば屋が高い!)、つまんない板わさとビールですぐに一人X千円以上とか...「粋」は判るが、貧乏なオレ好みではない趣味だったよなあ。

もう何年も前に退職して、まだヤツの退職祝いの一杯もしていなかったので、連絡がついたら飲むつもりで居た。
(なにしろ退職の時にはえらく忙しそうで、「こっちが片付いたら俺の方から連絡するから、待ってて」と言うのでそのままになっていた。)

で、何年振りかでやっと「一杯飲もう」の連絡が、「サイゼリアで一杯」だと?

「いやあ、年金暮らしで金が無くってよ」
「いいねえ、あそこは何もかも安くて」
「酒も安いんだぜ!」



サイゼリアじゃ不満?」


「じゃあ、ちょっと奮発してバーミヤンでどうだ?」


ああ、人生。
サイゼリアだってバーミヤンだって、良き飲み相手が居れば「良きかな、善哉」だ。
楽しい酒がのめそうだ。