ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

どじ

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Yさんは「しっかりしている娘」だと、小さいころから言われて来た。
自分でも、そう立派なもんじゃないけど普通に「ちゃんとして」生きて来たと思う。
この年までには、少しだけ周りから褒められたり評価される様な事柄もあった。
友人には頼るより頼られる方が多く、流行の物に流される事は少なく、軽はずみな事をする事もあまり無かった。
...まあ、普通に落ち着いた人生を送って来た様に思う。

ゴルフを始めるまでは。

ゴルフは友人達の間で流行りだしたのにつられて、軽い気持ちで始めた。
ゴルフ教室に行ったり、友人達と回ったり、町内会のコンペに出たり...月1回程度のラウンドと月に2~3回程度の練習という日々を過ごして来て、もう7年くらいになる。
ゴルフをする事は面白く、流されて行く生活の中で月1回のラウンドは重要な生活のアクセントであり、「その日の為に」という目標を持つ楽しみなイベントであった。

しかし、その楽しみのゴルフ、Yさんにとって不思議なことばかりが起こる。

始めは虫関係が多かった。
スタートホール、藤棚の下で軽く素振りをしていたらクラブが藤棚の葉っぱに触れた...そのとたん首筋に熱い感覚...すぐその後に電気に痺れた様な痛み!
地元で「デンキムシ」と呼ばれる毒蛾の幼虫が首筋に落ちて来たのだ。
すぐに取り出してもらったが、痛みと腫れでその日のゴルフは途中で棄権した...帰ってから医者に行って注射をしてもらってやっと落ち着く事が出来た。
このデンキムシには、その後数回被害にあった。
そしてあるとき、グリーンオンしてからパターを持ち、手袋を脱いで腕組みをした。
...そのとき左手の人差し指と中指に強烈な針で刺した様な痛み!
なんと左手の下に蜂がいた...ベストにとまっていた蜂を、知らずに左手で押さえてしまったのだ。
当然人差し指と中指は腫れ上がり、その後のプレーは続行不可能...
気がつかなかったのはアブも...ハーフを終わってハウスに入った時に、「その顔どうしたの?」と言われて慌てて鏡を見ると、自分の顔の右半分が大きく腫れている!...それを見たとたんにその右半分がしくしく傷みだした。
アブに刺されていたのは全く気がつかなかった。

その次は...プレーの間。
ティーショットを打ってから斜面を前の人に続いて降りて行ったら、20メートル程滑り落ちた。
斜面のボールを打った後15メートル程滑り落ちた。
ボールの打ちたい方向を見ようとしてバンカーに転げ落ちた。
景色を見ながら歩いていてクリークに落ちた。
いずれも怪我は無かったけれど、そんなに派手に転んだ経験はゴルフ以外ではなかった。

...ボールを探していてぬかるみにハマり、気がついたら片足が裸足だった。
スタート前に皆がクラブフェースでボールをリフティングしているのを見て、真似したら2回で新品のボールが池に入って、スタート前に一度も打たずにボールを無くした。
ボールをセットした後、ティーマークに引っかかってひっくり返った事は数知れず。

そして、痛い思いをしたのは....
「打った後も顔を残して、ボールのあった所を見ているつもりで」と教わったので、しっかり顔を残してショットしたら大ダフリして、飛んで来た土や砂が目に入ってどうにも取れなくなりギブアップした....これはしばらく目医者に通う事になった。

テレビで見た様に、バンカーから出た時に足の裏の砂をクラブで叩いて落とそうとしたら、左足の靴の裏叩くつもりが右足のスネを叩いて骨にヒビが入ってしまった...3ヶ月間休養。
カップインしたボールをとろうとして目測を誤り、カップの縁で人差し指を激しく突き指した...一ヶ月以上ゴルフ出来ず。
カートに乗る時に頭や膝をぶつけた事はしょっちゅうあって、ゴルフが終わるとこぶや青タンだらけになる...カートから降りる時に捻挫したのは特に痛かった。

Yさんは思う。
凄く真面目にゴルフしているし、運動神経だって人並みだと思う。
今までの生活で注意力散漫なんて言われた事無いし、わりと気がつく人だと思われていると思う。

なのに...
なんでゴルフをするときはこうもおかしな事件が起きるんだろう。
最近では一緒に回った事がある人は、どんなことが起きても当たり前の様な顔をして見ている...ちょっとため息をつきながら。

おかしい。
絶対におかしい。
私が「ドジ」なんてあだ名を付けられるのは。
私はいつだって周りに気を使っているし、邪魔にならない様にしているし、いつだって落ち着いているし、いつだって素晴らしいゴルファーであろうと思っている。

Yさんは、キッパリと、みんなに言いたい。

「私は、絶対に『どじ』じゃない!」