ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

ブロガー・K子

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K子さんは、ブログを開設して2年になる。
仕事に必要なパソコンに慣れるためと、日常のあれこれを日記代わりに書いて行こうと思って始めたブログだった。

しばらくするとK子さんは、自分のことではブログに書くことが無くなった。
そこで、仕事先であるスポーツ量販店でのことを書くようになった。
K子さんの担当は、ゴルフショップ。
若い新卒のゴルフ部出身の男性社員と、レッスンプロの資格を持つベテラン男性社員がいる。
K子さんはゴルフをやったことはなかったが、ゴルフの担当になってから一生懸命にゴルフの知識は増やした。
商品知識は勿論、ゴルフの歴史やスイングなどの技術についても勉強した。
そして、買い物客に対するレッスンプロの助言や、スイングについての注意、試打する客に対してのアドバイス、道具の向き不向きなどもメモして覚えるようにした。
疑問点は若いゴルフ部出身の社員に聞けば、たいがいのことは丁寧に教えてくれた。

しかし、どうもタイミングが悪いのか、K子さんが実際にゴルフを体験する機会はなかなか訪れなかった。
以前はあったと言う社員のゴルフコンペも、不景気で自粛ということが続いていたし、K子さんが自分からゴルフデビューするには時間も金も情熱も足りなかった。

...ブログで、仕事で覚えたお客さんの事を書いた。
自分の希望と現実の実力の違いのために、殆どの人がオーバースペックのクラブを買って苦労していること。
自分のスイングスタイルと合わないクラブを買って、上達できない人。
そういう人は、こんなクラブを使った方がいいのに...

そんな記事が思わぬ評判を呼んだ。
コメントで質問が相次ぎ、それに対して仕事で覚えた忠告を丁寧に返しているうちにファンがついて、いつの間にかブログを読みに来る人が増えて行った。
そのうちに「是非、うちのブロガーズコンペに参加して下さい」とか「こんなコンペに参加しませんか?」なんて誘いまで来るようになった。

K子さんは自分のブログに質問が来ると、店でレッスンプロや男性社員に聞いて真面目にコメントを返し...それで、お礼の返事が来るのが嬉しかった。
自分のブログに喜んだり感謝したりする人が少なからずいてくれることが、ブログを書き続ける張りになっていた。

しかし、実際のゴルフのプレーとなると....今から「自分は実際のゴルフプレーをしたことがありません」とは書けない。
「ゴルフは好きか?」 と聞かれると、「好き」だと思う。
でも、ゴルフの知識は沢山持っているにしても、本当は始めてもいない初心者。
今からクラブや靴やの道具を揃えて、一からスイングを教わって、練習を重ねてコースにデビューして...それを自分はやれるだろうか?
「女性ゴルフブロガー」として、評判になってしまった自分は一体...

悩んでブログを休むと、ファンのゴルファーの人から心配するコメントが入る。
そういう人達は、自分が表に出ないので勝手に「美人」で、「上手く」て、「魅力的な」ゴルファーのイメージを作ってしまっている。
K子さんは、自分では騙すつもりなんてなかったのに、勝手に歩き出した自分のイメージに身動きが取れないでいる。

自分は、これからゴルフとどう向き合えばいいんだろう?
ブログをどう書き続ければいいんだろう?