向日葵は、夏の花。
今はあちこちで「2万本の向日葵が!」とか「10万本の向日葵の迷路!」だとか宣伝されて、観光名所となっている向日葵畑も多い。
...しかし、正直「向日葵畑の無数に咲く向日葵」の花は、自分の「ひまわり」のイメージとは違っていて、あまり好きではない。
好きなのは、ちょっとした道ばたや、庭の外れや、「こんなところに」という場所に咲く1本か2本だけの背の高い大輪の向日葵。
八月の終わりも近いこの時期、あちこちでひとの背丈より伸びた大輪の向日葵がその時期を終えて、静かに立っている。
太い幹に大きく分厚い花を乗せて、残暑の太陽を背に首を垂れているように...でも、精一杯胸を張って花を咲かせて来たという「誇り」を感じさせて。
既に葉はボロボロになり、花びらはほんの少しが変色して残るのみ。
しかし、その中心にしっかりとした種を育みつつ、まだ大地にしっかりと踏ん張って立つ。
その姿に、卑屈さも後ろめたさも感じさせず、盛りを過ぎてしまい弱って行く身に媚びもへつらいも纏わず...「いい時期を過ごせたな」と思わせるシルエットを見せて。
「いい時期を過ごせたかい?」
「ああ、俺はちゃんと生きた。」
「悔いはないのか?」
「後悔なんか するものか!」