ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

立秋を過ぎて...

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暦の上では8月7日が立秋
これは中国から伝わった二十四節気の一つで、「秋に入る日」の意味。
体感的には「これから本物の真夏の日が続く」のに「もう秋」とは違和感があるけど...そもそもこの二十四節気というのは中国の季節に合わせたものなので、緯度経度や気候条件の違いから本当の日本の季節の移り変わりとは微妙にずれているように感じる。

ただ、いかに空が青く、入道雲がそびえ立ち、蝉が鳴き、日向ではチリチリと焼ける音がする程の太陽の強烈な陽射しがあろうと、周りにはいつの間にか「夏の終わり」が始まっているのを感じるのが面白い。

蝉の鳴き声の中を赤蜻蛉が飛んでいる。
生い茂った雑草が、それぞれに実をつけ始めている。
雄大な姿で聳え立つ入道雲の上に、細い秋の筋雲が見えるようになる。
...そして、いかにも「夏の花」らしく、太陽に顔を向けて胸を張って咲き誇っていた向日葵が、流石に疲れたように頭を垂れている。
まるで燃える炎の様に、中心から四方に向けて華やかに咲いていた黄色い花びらは、もう残り僅かになって元気無く萎びて、かろうじて花芯に張り付いている。
鮮やかな黄色は所々剥げて茶色に変わり、大きな葉もあちこちに穴が開いてボロボロになっている。
スッキリと胸を張っていた幹は、大きく腰を折って花は真下を向いている。
その姿は、かって栄華を誇った強者の末路の姿とも、戦って破れた敗残兵の姿のようにも見えるけど、その身に抱えた種の姿が「どっこい、ただ負けた訳じゃない」なんて呟いているようにも見える。

でもね、オレの目にはお前は凄くカッコ良い。
「咲いてる姿は格好良かったけど、枯れると汚いな」とか、「みっともないから切っちゃおうか」とか、「あとは種から油を取るだけか」なんて、みんな勝手に言うけどな。
少なくともオレの散り際の姿なんて、絶対にお前よりカッコ悪い。



お前の様に枯れ際を全うするのはな....本当に難しい問題だ。