ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

二百年物のパーシモン

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これは人から聞いたうわさ話。

あくまで「噂」で聞いたものなので、真実のことなのか、出鱈目なことなのか判らないのでそのつもりで。
ただ、聞いたときには「さもありなん」とは思ったことなので、真実かどうか判らない「うわさ話」として頭の隅にメモしておいたこと。

25年くらい前にゴルフを始めたときには、「ゴルフ」というのはその名の通り、「ウッドクラブ」は木(パーシモン)で出来ていて、アイアンは「鉄」で出来ていた。
それが「ゴルフ」というもので、「ドライバーはパーシモン」という時代は、まだまだ続くと思っていた。
マルマンからメタルヘッドのドライバーが出たときも、ちっぽけな耳かきのようなクラブで、本当に「ゲテモノ」という感想しかなかった...ただ、ある意味での性能は驚くべきものがあったけど。

それがあっという間に、パーシモンヘッドからメタル、カーボン、チタンと素材がかわり、性能が良くなり、易しくなり、今ではパーシモンドライバーを使う人は殆ど全く見かけない。
その間に、パーシモンからの「削りだし」に命をかけていたクラブ職人や、そのバランスや木目やオイルの漬け方からインサートのはめ込みまで、数々の素晴らしい腕を持った技術者の仕事が消えていった。
そしてパーシモン全盛時代に、桁外れの高い値段を付けていたものに、ミシシッピ川沿岸でしかとれないという「伝説の二百年物のパーシモン」があった。
このパーシモンをオイルに何年も浸し、乾燥にも何年もかけて、その後やっと削り出して行く、という長い時間をかけての製作した物が「名器」として高価だったが、飛びも打感も音も極上とされていた。
ただ高価なだけでなく、ある程度の腕があると誰でも憧れて手に入れたくなるという、美術工芸品的な存在でもあった。

この、謂わば「お宝」のミシシッピパーシモンを、あるクラブメーカーは何十年も作り続けられるほど在庫していたという。
そのメーカーはこれほど速くゴルフの世界からパーシモンが姿を消すとは思っていなかったようだ。
半分くらいは他の素材に移っても「こだわり」を持ったゴルファーは、「良いパーシモン」を使い続けると思っていたとか聞いた。

結果はその貴重な、そして高価な、パーシモンの山を抱えて倒産、となったらしい。

ところが最近、その立て直したメーカーが元気になっている、というのが噂の本番。
なんと!
ミシシッピパーシモンが、ゲートボールの「こだわりのスティック」として売れているんだという。
ゲートボールも凝ってくると、やはり自分のスティックに、やれ「黒檀」だとか「銘木」だとか、材料にこだわるようになる。
それに目をつけたメーカーが、あの「二百年物のミシシッピパーシモン」でスティックを作ったところ、その打感、感触、音が評判になり凄い売れ行きになっているらしい。
噂では、そのおかげでそのメーカーの立て直しも順調で、死蔵していた高価なパーシモンが再びお宝として脚光を浴び、無駄にならないで済んで、「目出度し、目出度し」なんだって。

あくまで噂だから本当かどうか知らないけれど、二百年物のミシシッピパーシモンのスティックの打ち心地、ちょっと味わってみたくない?