ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

ゴルファーの最大の喜びは...

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「19世紀の昔から、全てのゴルファーの最大の喜びは、力の限りの一撃でボールが遠くの砂丘を越えて行くのを見ることである」...レイドロウ・バービス。

レイドロウ・バービスは、ロイヤルセントジョージズ&サンドイッチゴルフコースの設計者。

ゴルファーって奴は...
19世紀の昔から、クラブもボールも、服装も、プレーする職業も年齢も関係なく、結局のところ「思い切りボールを引っ叩いて遠くに飛ばすこと」が最大の喜びであることに変わりはないってこと。

例えば、彼が言う「砂丘」。
彼の造ったコースには、本当に上手く飛ばせれば越えることが出来る「砂丘」があるらしい。
だから越えることが出来たゴルファーには、「いいコースだ」という評判になり、どうしても越えることが出来ないゴルファーには「ひでえコースだ」という評判になったと言う。

トータルスコア、つまりパー72を基準とする打数で優劣を比べるようになってから、「無謀な冒険」より「利口な刻み」の方が理にかなった攻め方として世間に認められるようになったが、ゴルファーって奴は本心の本心では「飛ばなくちゃつまらない」というのが正直な気持ちだろう。
それが証拠に、ゴルフクラブの変遷というものは...その目的の90パーセントは、「より遠くに飛ぶ道具」を求めてなんだから。

例えば、飛ばすためのゴルフクラブ...ウッドクラブに使われた木材を調べてみると、まず18世紀にはその材質は、サンザシ、シャクナゲ、リンゴ、ナシ、シデ、ハナミズキ、ブナ...と、殆どありとあらゆる木材を使ってどれがより飛ぶかを探し求めた記録がある。
19世紀に入ると、イチイ、リンゴ、ナシ、サンザシ、が主流となり、19世紀末になってやっと柿の木が使われ始めた。
そして20世紀になって、アメリカのミシシッピ川沿いにある樹齢200年を越えた柿の木が、ドライバーに最高の木材であると認められて、主流となって行く。

これはみんな飛ばすことが目的...しかし副産物として、よく乾燥されたパーシモンに糸巻きボールの打感の良さが、プラスされる最高の快感としてゴルファーを虜にしてしまう。

今でも使用に耐えるパーシモンドライバーは、良質のものはオイル漬けにされた後、しっかりと乾燥されて簡単に割れずに、打感も良くなり飛距離も出る。
さすがに、現代のツーピースボールやスリーピースボールで固めのボールでは、フルショットするとヘッドが破壊されてしまう可能性が高いが、女性用の極柔らかいコンプレッションのボールか、残っている糸巻きボールでかっての「飛ばしへの憧れ」の遺産を楽しむことが出来る。

そんな理由で、先日の「パーシモンマスターズ」も開かれているし、私も参加したんだけれど...

パーシモンを使わなくてもいいから、現代のゴルフでもたまには本能に任せて「ぶっ叩く」ゴルフだってやってみるといい。
72の数字を気にするゴルフなら、「正確に刻む」のも「あり」だけど、たまには72の数字を気にしないで、コースとのマッチプレーのつもりで「力の限りの一撃」で戦ってみるのもいいんじゃないか?

これは18世紀、19世紀からの、ゴルファーの「最大の喜びの追求」なんだから。