ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

糸巻きボール

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昨年、パーシモンをラウンドで使おうと思った時に、「もしあれば」と糸巻きボールを探した。
ショップでは当然売っていなかったので、オークションで探してみたんだけれど...

考えていたより遥かに高値になってしまうので、買うのを諦めた。
仕方なく、去年参加したパーシモンマスターズでは、一番柔らかいコンプレッションの女性用ボールを使おうと思っていたんだけれど...ブログで知り合った「M」さんに手持ちの糸巻きボールを頂いて、パーシモンを楽しむ事が出来た。

その当時探していたオークションでは、糸巻きボール一個当たりの値段は1000円以上になっていて、異常に高価な取引がされていた。
...以前、普通に使っていた頃の糸巻きボールというのは、「使用期限1年」と言われていて、製造してから1年以上経ったボールは性能が落ちるというのが常識だった。
だから、安い時に大量に買って「これで3年以上使える」なんていう人は、「ゴルフを知らない人」と馬鹿にされたりしていた。
また、夏の暑い時に車に入れて置いたりしたら、一遍に性能が劣化するというのも常識だった。

それもこれも、糸巻きボールというのが固体や液体のコアの周りに糸ゴムを巻き付けて作るために、糸ゴムの「ゴム」の性質そのものがボールの性能に大きな比重を占めていたからだった。
ゴムというものは、その弾力や反発力が一定の時間しか続かないのは知っているだろう。

製造されてから何年も経った糸巻きボールは、いわばゴムの伸びたパンツのようなものだ。
ユルユルで、すぐずり下がってくる。

もっと過ぎたゴムは、弾性を無くしてすぐに切れるようになるのも知っているだろう。
古くなった輪ゴムは、伸ばそうとするとすぐに切れる。

糸巻きボールが製造されなくなってから、既に十年以上。
どうやって保存されていようとも、ゴムの劣化は避けられない。
製造当時の性能など、絶対に残っているはずが無いのだ。
ノスタルジーのコレクション以外に、糸巻きボールを高価で買う必要は無い。

パーシモンヘッドのドライバーでも、おそらく最初の一発で糸ゴムはバラバラに切れてしまうはずだ。
飛びもスピンも、糸ゴムの切れた糸巻きボールでは、本来の性能の一割も出てはくれないだろう。
実際、昨年のパーシモンマスターズでも、午前中はそれほど感じなかったが、午後になると飛びも揺れるし、飛距離は極端に落ちるし、ボール自体が変形して来たように見えた。

ただ...パーシモンで打った時の感触は、最高!
「バシュッ!」という音と、フェースにくっついてから「低く出て宙に舞い上がる」独特の感触は、本当に「快感」。
昔、ゴルフを始めた頃に、その音とパーシモンで糸巻きボールを捉まえた感触に興奮して、何度も夢に見たのを思い出す。

糸巻きボールには、その感触以外に期待せずに...だから、スコアは気にせずに、今現在「パーシモンに糸巻きボールでゴルフがやれる」事を楽しんでみよう。

既に過ぎてしまった、「ゴルフ史の1シーンを楽しむ」、という幸せをかみしめて。