ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

ゴルフ小説挿絵ー6

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上のイラストは、サトルさん( http://blog.golfdigest.co.jp/user/woodhouse/ )さんのゴルフ小説「サドンデス」の第11話目の挿絵です.
よろしかったら、サトルさんのブログを見てください。
話は佳境に入ってきました。


さて、ゴルフの「本」について書いてきたので、考察3です。

本屋のゴルフ関連の本の置き場には、月刊誌、週刊誌、季刊誌、単行本、文庫本が並んでいるけれど、ゴルフに興味を持つ人の、ほとんどが手に取るのは平積みにされた週刊誌や月刊誌。
棚にはレッスン関連の本がずらりと。
今売り出し中の若手や、著名なプロ監修の本、多いのはテレビなどで名前を売っている有名なレッスンプロのレッスン本。
合間に夏坂健氏の本や摂津茂和氏の復刻版や、いろいろな名言の本など(これは少ないけど)。

中部銀次郎氏や鈴木康之氏の本も並んでいる。
札幌で買ってきた鈴木氏の本を読んでいて、「なるほど」とか「それはいいなあ」とか思うこと多々なんだけど...
何かしら違和感が残る。
ゴルファーのあり方や、態度、言葉などなど、素晴らしいのはわかっているのだが。
...生活感がまるで無いのだ。
ゴルフ倶楽部での姿、行動、ゴルフに対する接し方、あり方、全て「いい感じだなあ」「羨ましい世界だなあ」とさえ思う。
だけどそこにいる方々は、大企業の社長や会長、専務、著名な作家やデザイナー、文筆家...
功なり名遂げて、ゴルフをする時間や金の心配の全くない方々の話なのだ。
それに対して、自分も含めて我々が接して、ともに喜び、嘆き、悔しがり、いたわり合い、酒を酌み交わすのは、日々の暮らしを家族を心配し、先の生活にも収入にも不安があり、ゴルフを楽しむ金を時間を、それでなくとも乏しい隙間から絞り出すようにして融通している人たち。
「上流階級」(あえてこう呼ばしてもらう)の方々の、ゆとりの倶楽部ライフにおける会話を本にしたものは、「なんて素晴らしいゴルフライフを送っているんだろう」とは思っても「でも、自分には縁のない話」「自分はそのお仲間には決してなれない世界の話」...というのが正直な感想。

そして、ゴルフを楽しむ我々庶民の哀感を描いた本は、無い。
だから、俺は自分の出会った沢山のゴルファーたちの、誰にもあるけど誰も気にも留めようともしないエピソードの数々を、無くなるまで書き続けて記録しておこうと思う。

月に一度のゴルフが楽しみで眠れない女性や、寝たきりの奥さんの介護の合間にオープンコンペで空を見上げる老ゴルファーや、生活のために好きなゴルフを休まなければならない女性ゴルファー、古い靴や古いキャデイーバッグを使い続けるゴルファーのこだわりや、心の痛みや、小さな喜びなんて本屋にあるゴルフ本の中には決して存在していないから。