ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

ベン・ホーガン デケイド

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高いコンクリートの堤防の内側、遊歩道として整備されているここら辺は、上を首都高の高架が通っていて屋根のようになっている。
風が吹けば雨も吹き込むだろうけど、なにもないよりはずっと良い雨よけになるだろう。

ブルーのシートを掛けた、段ボールやベニヤ板で作った掘っ立て小屋が数十戸並んでいる。
なかには、立派なドアや窓まで付いたものさえある。

仕事の帰りに「歩いてみようか」なんて思ったときに、この川縁の道を歩くことが多い。
ホームレスの人々の手作りの家の前を通るのは、こんな時代に「いつかは自分も」なんて事を感じて、少し気が重くなるんだけれど。
住んでいる人々は、本箱に本を多数並べている人がいたり、キャンプ用品で炊事している人がいたり、釣り道具が置いてある人がいたり、で全く普通の人のように身なりが汚れていない人も多い。
むしろ、色々な「知的な仕事に就いていた人では?」なんて事を感じさせる人さえ少なからず居る。

そんな中で、壊れかけた折り畳みイスの後ろの壁に、アイアンが一本立てかけてあるのを見かけた。
思わず近づいてそのアイアンを見てみると、それはベン・ホーガンのデケイド(ディケイド)。
さすがに勝手にクラブを手に取ってみるわけにはいかなかったので、番手は判らなかったけど6-7番くらいだろうか...

なぜすぐ判ったかというと、ゴルフに熱中しだした頃、ある5下のシングルさんから「上手くなるなら、アイアンはベン・ホーガンのデケイドを使いなよ」なんて言われて、それをローンで買ったから。
初めて手にしたときには、その綺麗さに年柄年中撫で回していたくらい感動したアイアン。
やがて、ピン アイ2に変えるまで、3年くらい使っただろうか。

そのアイアンの持ち主は、横のブルーシートの家の主なんだろうけど、これをどうしているんだろう。
グリップはかなりすり減っているけれど、彼がスイングしてしてるからなのか?
それとも単に落ちていたから拾ってきただけなのか?
あるいは単なる「用心棒」として置いてあるだけ?
あれば便利だろうという、ただの「棒」代わり?

何とも場違いなところで見つけた、ベン・ホーガン。
今、遙かなグリーンの夢を見ているのは、クラブなのか、持ち主なのか...