ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

語りたかった事多く...

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この前、久しぶりに「大人の遠足」仲間と「たいの家」で飲んだけど...思い返せば、それはほぼ2年ぶりの話し相手のいる「酒飲み」。

もともと、一人で気に入った居心地の良い店を見つけて酒を飲むことが多かった。
居心地の良い店さえ見つければ、あとは時間をかけてその店の常連となり、時間をかけてその店に自分の居場所を作る。
まあ、俺の見つける店なんて高級な店であるはずもなく、「安くて美味くて気があうオヤジがいる」奇跡のような店ばかり。
でも、行けば「俺の席」があって、「いつもの」で俺の好きな酒とつまみがすぐ出てくる。
...それで、もう充分満足なんだけど。

でもやっぱり本音では、酒の向こうには気に入った相手が欲しいのだ。
一人の酒もいいけれど、気に入った相手との酒の方がやっぱり確かに旨いのだ。

例えば
雑学の博士のように、どんな話題でも俺の知らない驚くような話がいくらでも出てくる男がいた。
笑いっぱなし、驚きっぱなしで酒が進んだ。

話の内容はいつも同じなんだけど、なぜか独特の雰囲気になって、長い思い出酒になる男がいた。
いつも俺より酒が弱いので、勝手に突っ走って潰れて、結局俺が世話することが多かった。

いつも過去の栄光を忘れられない男もいた。
どんな時でもへこたれず、明るい未来の話と、自分の夢を語っていた。

格好が良くて見栄えが良くて、性格も「凄く良い人」で、一見非の打ち所が無いように見えるのに、酒を飲むとぐずぐずになっちまう困った男も居た。

それでなくても美人なのに、飲むとますます明るく陽気な美人になって、なのに男勝りの言葉になって男心を突風のように吹き抜ける女性がいた。

飲むと妙に色っぽくなって、周りの男に勘違いの嵐を巻き起こす困った女性もいた。

...まだまだ、俺の長い酒飲み時間の中には、酒越しに笑っている顔が無数にいる。
年上の人も年下の人も、酒を挟んで確かに同じ時間を生きていた。
「友」とか「仲間」より、「戦友」という感覚が近かった。
...一人飲みより短かった時間のはずなのに、彼らとの時間の記憶は時を過ぎても色褪せてこない。


...でも、みんな今はいなくなっちまった。

もっと語りたい事があったのに。
話しあいたい事が、まだまだあったのに。


なあ、愚痴でも言い訳でも、悪口でも泣き言でもいいからさ、また酒を飲みながら話してえよなあ...

秋の冷えた日本酒は、喉を静かに通り抜ける「一口」ごとに、そんな奴らへの言葉が自然に湧いてくる。


いつも聞いていた事が多かったけれど、俺もお前達に語りたい事が本当はたくさんあったんだ。


話さずに終わった事を今更酒の力で話そうなんて、ちょっと情けない話だが。