ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

入院そして手術...その3   (2017年5月20日)

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遠くから名前を呼ばれて返事をしたり、「今何時?」と聞いて「もう8時よ」と返事されて驚いた事は覚えている。
が、まだ麻酔が効いていたらしく、それらはぼんやりとした霧の向こうの出来事の様で、いつの間にかまた寝てしまったようだ。
ただストレッチャーからベッドに移す時に、90キロオーバーの重さは看護婦さんには厳しかったようで、若い看護婦さん4人掛かりで気合いを合わせて頑張ってもらったのを恐縮していた自分は記憶に残っている(なんか重くてゴメン、と謝ったような気がする)。
体重を減らさなければいけないよねえ...って、この日は俺よりもずっとありそうな大男がもう一人居たんだから、ホントに看護婦さんも災難だったよなあ。

はっきりと目が覚めたのは、午前2時。
「なんでこんな時間に?」という疑問は、耳元に響いて来るとなりの大男の鳴き声吠え声ですぐ理解した。
「あああ~」とか「ふうううう~」とか「おおおううう~~~」とか、苦しそうな痛そうな声を出しっ放しだ。
「やっと静かになったか」なんて思った途端、豪快ないびきが聞こえて来る...が、間もなく唸り声と言うか哭き声と言うか、大きな声を出しっ放しにする。
「この部屋には他に5人もいるんだ、でかい図体してるんだから少しは我慢しろよ!」なんて怒鳴りたくなる...もちろん言わなかったけど。
(この男、昼間も食事以外に袋菓子をバリバリ破り、「バリボリバリボリ」と大きな音を立てて何か食ってるし)

気になったのは胸の痛みと言うか、息が詰まる様な胸の苦しさ。
横になると心臓の辺りが痛い様な気がして、起きると食道の当たりが息苦しく少し痛む...長い手術時間と合わせて「ひょっとすると手術が上手く行かなかった?」なんて不安も湧いて来る。
しかし、この点は昼になってN先生が来てくれて、そういう疑問点一つ一つに丁寧に答えてくれ、「間違いなく手術は上手く行きました」と言う言葉に心底ホッとする。
(昨日3人分、12時間近く手術をしたと言うのに、今日は平気で朝から外来も見ているそのタフさには脱帽です。)

そして、また気持ち悪い導尿の管を外した後、大変だったのは排尿の度の激痛!(無理して出そうとして痛かった先っぽに近い部分が、排尿の度に焼け付くように強烈に痛む...ただこの痛みの度合いは徐々に弱くなって行った)

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先生の話では、私の心臓の筋肉は普通の人の倍の厚さがあるそうだ。
その為に普通の人なら3000ポイント程の処置が、4500ポイントくらい時間をかけてやることになり、手術の時間が多くなったとか。
「筋肉が厚い」と言うと良いことのように聞こえるが、調べてみるとこれは「心筋症」の一種で決して良いことではなく、様々な病気の原因ともなる状態らしい。
今後の人生を後悔せずに送る為には、かなりの「摂生」が必要なようだ。
まあ、自分の俗物・意志薄弱・誘惑に弱い性格は判っているから、それは一番大変なことなんだけど。

胸の痛みと、多分これは関係ない寝ていて感じる右横腹の鈍痛はあったけど、予定通りに17日に退院。
その日は家に帰ってから羽を伸ばすつもりだったけど、あの隣の男のおかげで寝不足が続いていたため、帰り着くとすぐに自分の布団に入って爆睡してしまった。
正直凄く疲れた。

胸の状態は今の所まだ安定しないで、これからどうなるか判らないと言う感覚だが、先生の話では良くなった感じが判り始めるのに一ヶ月。
完全に回復するには3ヶ月はかかると言うこと。
つまり、完全復調は8月半ば、と言うことだ。
これから本調子になる迄にまだ何度も病院に行く予定だが、とりあえず退院でエピソードの第一幕は終了。
続いて、今後の回復過程も折りに触れて報告して行く。
初めての入院(病気で、と言うこと。怪我なら結構あった)で、あらためて医師・看護婦(敢えて看護士と言わない...現実に接して世話をかけるのは女性の看護士さんだから)さんの仕事の厳しさが実感出来た気がする...そして医療技術の進歩も。

N(中原)先生は、「今ではこうした技術を、以前迄のように一部の「名人」のものにしておかないで、誰がやってもベストの結果が出せるように新しいシステムを作っています」と言っていたが、あの手術室で見かけたシステムがそうらしい。
すなわち「手先指先の感覚の世界から、繊細なタッチを数値化してどんな医師でもミスの無い結果を残せる」様になるらしい...これは患者にとっては有り難いことだろう。

未だに自分では、あの人間の体の中で一番激しく動き続けている臓器である心臓を、動かし続けたままピンポイントで焼いて行く処置、と言うのは信じられない「神業」としか思えない。
(だからこそ失敗例の聞こえて来ない「名医」と呼ばれる人に頼りたくなるんだが...)
全く知らなかったけど、今はそうした方法はかなり一般的になって来ているそうだ。


年をとったり肥満になったり、運動不足や思わぬハプニングなどで、今後この手術を受ける人は多くなるはず。
自分もこれからどうなるかは全く判らないけど、こんな記事が参考になれば良いと思う。



...俺も、仕事で何か人の役に立つことを後に残せたら良いんだけどなあ...