少し経つとジワリジワリと「小便をしたい」と言う感覚が強くなって来る。
「こういうものなのか?」とは思うけど、30分も過ぎるとそれが強い「尿意」となって来た。
ベッドの横になっていると、丁度寝小便間際の下腹部の「小便満タン感覚」が強くなって来て汗が出て来る。
座っていると、今度は少しずつ「キリキリ」と言う感じで尿意プラス痛みまでが強まって、チンチンを抑えて「ああ、トイレに行きたい」と勝手に声が出て来る。
1時間も過ぎると、もう立って足をもじもじしている格好だけが我慢出来る姿勢になった。
それが2時間経っても、まだそのまま待ち続ける...もう足踏みをしっ放しで、あそこを抑えて唸るばかり...
この感覚はビールの大ジョッキを3杯飲んで、もう限界だからとトイレに行くと...何と10人以上が並んでいて、「自分の状態じゃあ絶対に間に合わない」と感じた時の絶望感。
あるいは、トイレを我慢し続けてやっと駆け込んだ目当てのトイレが工事中で閉鎖されていた時の世界の終わり感。
そんな状態で3時間近くになると、もう見栄も外聞も無く、看護婦さんに「なんとかして下さい」と何度も頼みに行く始末。
「どうしようもなければ、トイレで試しに出してみて下さい」と言うので、便器に座ってもう根元迄満タンの(感覚の)尿を出そうとしたら...「出る」と言う感覚の場所でもの凄い激痛!
「イテテテテテ~」とトイレで一人声を殺して悶絶する自分の姿が情け無い。
もちろんこの試みは、管が入っているので一滴も出ず、強烈な痛みだけがしばらく残っただけ。
やっと順番が来てストレッチャーに乗ったのは、15時10分。
この3時間の苦しみは、ちょっと長過ぎた...1時間なら、それほど苦しまずに待っていたものを。
最後は排尿を我慢していた為の貧血寸前の脂汗と全身の強張りのために、久しぶりに脈が飛び、不整脈の発作が起きてしまった。
でも、「丁度いつもの発作が起きたので、手術ではこれを必ず止めてもらえていいかも知れない」なんて考えが頭を過った。