ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

入院そして手術...その2   (2017年5月19日)

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あれだけ隣の大男に大騒ぎされて、少しビビってた導尿の管挿入も大した事無く無事済んだのだけど...
少し経つとジワリジワリと「小便をしたい」と言う感覚が強くなって来る。
「こういうものなのか?」とは思うけど、30分も過ぎるとそれが強い「尿意」となって来た。
ベッドの横になっていると、丁度寝小便間際の下腹部の「小便満タン感覚」が強くなって来て汗が出て来る。
座っていると、今度は少しずつ「キリキリ」と言う感じで尿意プラス痛みまでが強まって、チンチンを抑えて「ああ、トイレに行きたい」と勝手に声が出て来る。
1時間も過ぎると、もう立って足をもじもじしている格好だけが我慢出来る姿勢になった。
それが2時間経っても、まだそのまま待ち続ける...もう足踏みをしっ放しで、あそこを抑えて唸るばかり...
この感覚はビールの大ジョッキを3杯飲んで、もう限界だからとトイレに行くと...何と10人以上が並んでいて、「自分の状態じゃあ絶対に間に合わない」と感じた時の絶望感。
あるいは、トイレを我慢し続けてやっと駆け込んだ目当てのトイレが工事中で閉鎖されていた時の世界の終わり感。
そんな状態で3時間近くになると、もう見栄も外聞も無く、看護婦さんに「なんとかして下さい」と何度も頼みに行く始末。
「どうしようもなければ、トイレで試しに出してみて下さい」と言うので、便器に座ってもう根元迄満タンの(感覚の)尿を出そうとしたら...「出る」と言う感覚の場所でもの凄い激痛!
「イテテテテテ~」とトイレで一人声を殺して悶絶する自分の姿が情け無い。
もちろんこの試みは、管が入っているので一滴も出ず、強烈な痛みだけがしばらく残っただけ。

やっと順番が来てストレッチャーに乗ったのは、15時10分。
この3時間の苦しみは、ちょっと長過ぎた...1時間なら、それほど苦しまずに待っていたものを。
最後は排尿を我慢していた為の貧血寸前の脂汗と全身の強張りのために、久しぶりに脈が飛び、不整脈の発作が起きてしまった。
でも、「丁度いつもの発作が起きたので、手術ではこれを必ず止めてもらえていいかも知れない」なんて考えが頭を過った。
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ストレッチャーに乗せられて、二人の奇麗な看護婦さんに運ばれて行くのは、古くはベン・ケーシー、あるいは救急救命室ものなんかの映画やテレビで見た光景だけど、自分が運ばれて行く事になるとは思わなかったなあ...
廊下を曲がり、エレベーターに乗り、たどり着いたのはえらく明るい手術室。
大きなモニターが三面並び、色々な計器が置かれていて、二人の青い手術服(?)の看護婦さんと何人かの技師さんと、それにN先生ともう一人のお医者さん...「ん?、二人で手術するの?」と言う事が頭に残った。

手術台の上にセットされて、いよいよアブレーション開始...
まず麻酔をするらしいが「麻酔を入れました」「眠くなって来たでしょう?」
「え?」...感覚的に全く変わらない...で「なにも変わりませんが」
これがいけなかった。
「じゃ、少し増やしましょう」と言われると、間もなくフワーと眠気がやって来た。
「あ、効いてきました」と言った後...完全に落ちた。
その後の記憶は、手術後に先生から呼びかけられた時に返事をした事と、娘や奥さんに呼びかけられた時に「今何時?」と聞いた時迄無い。
「もう8時よ!」と聞いて「え、そんなに...」と驚いたのを覚えている。
自分じゃ、部分麻酔なのでモニターを見ながら観察したかったんだけど、全く完全に寝てしまってその間の記憶は全くない。

ただ、変な夢は見ていた。
起きた時にも、はっきり覚えている不思議な夢だ。
自分は暗い海に裸で浮いている。
その暗い海の向こうから繰り返し波がやって来る。
その波は何故か熱く苦しく、乗り越えると楽になるのだけど、乗り越え損ねると死んでしまう様な気がする波。
そして不思議な事に近付いて来る波頭は、何故か数字で出来ている。
その熱くて苦しい波が来る度に懸命に乗り越えようとする自分だけど、どう言う訳が苦しくなったら自分のつばを飲み込むとなんとか波を越える事が出来るのを知っている。
乗り越えさえすれば、ホッと安心出来る楽な瞬間が来るのだが、波は果てしなく繰り返して続いている。
苦しい時には体をよじっていた様な気さえする。

...なので、気がついた後はえらく全身が疲れていた。
自分のベッドに横になってからは、殆ど寝ぼけながら、15時過ぎから20時近く迄かかった手術の事を考えていた。
が、また薬の所為か意識は消えて行ってしまった。

が、なんにせよ、「これで、もう不整脈の心配はしなくていいんだ」と言う「安心感」は確かに感じていた。