ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

ゴルフは滅びる?...4

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ゴルフ...日本のゴルフの話だけど、確実に滅びへの道を歩んでいると思える。

原因は、我々から現在50歳前後の人まで続いていたゴルフ大好き人間がいなくなるから。
あと20年もしないうちに、日本のゴルフ人口は激減する。
ゴルフコースは減り、用具は売れなくなり、ゴルフ業界は衰退し、ゴルフを趣味とする人はほんの少数の人間になってしまうだろう。

ゴルフというゲームは実際に体験してみると、それまでゴルフを毛嫌いしていた様な硬派な男達程、「これほど面白いゲームだとは思わなかった」とハマりやすい。
それは、簡単にツボを会得して上手くなってしまうような底の浅い技術ではなく、何度やっても二度と同じ状況にはならない複雑なシチュエーションが続き、誰からも助けを得る事が出来ずに自分一人で続けなければならず、心理状態がまともにゲームに影響する複雑さがあり、上手くいかなかったラウンドには自殺したいくらいの挫折感を感じ、稀に上手くいった時には自分の人生を全て許して祝福さえしたくなる...
それほどの喜怒哀楽を素直に感じる事は、大人になったあとの人生で出会うのは稀な事だろう。

だから、ゴルフに惚れた人々は次の世代にもそれを伝えたいと願うのだけど...
会員権バブルの崩壊は、やっと自分も「メンバー」になってゴルフを楽しみ、その楽しさを家族や子供に伝えて子や孫と一緒に長く楽しみたいという人の夢を粉々に打ち砕いた。
ゴルフ狂を自認した人たちも、さすがにゴルフを諦めて退場しなければいけない程の傷を負ってしまった...それと同時に彼が次世代に伝えるつもりだった「ゴルフライフ」も消えた。

世間ではもっと酷い事になっていた。
バブルで犠牲になるのは、本来バブルに踊った人たちだけなはずなのに...バブルに何の関係も無く真面目に働いていた人たちが、経営者の無能の犠牲になって虐殺されて行った。
確か、パイオニアだと思ったが...日本で初めて「リストラ」と言う名の、首切りが断行された。
それから、それまでの日本基準だった終身雇用が崩壊し、「実力主義」と言う名の下に非正規雇用社員ばかり使うインチキ経営者が大きな顔をするようになった...確かゴーンとか言う名のヤツが、大量首切りしただけでの経費削減で名経営者と言う名で呼ばれるようなったりして。
首切り前に建て直してこそ名経営者だろうに。

終身雇用が過去の遺物として消し去られ、会社はちょっと経営がまずくなれば簡単に首を切れば良くなり、ほんの少数の実力がある?者以外はいつ首になるか判らない上に安い給料で働かされて、将来に何をしたいかなんて夢を見る事は不可能になった。
年間収入は少なくなり、何時までたっても給料は上がらず、簡単に首になる世の中では若者に使える金などたかが知れている。
車を持つ事は、税金やら駐車場代やら保険やらガソリン代やらで、はじめから諦めるしかない夢だ。
まして、自分の金でゴルフをやる程の余裕がある若者はどのくらいいるだろう?
そんな多くの若者達にとって、ゴルフというのは金と面倒がかかる代物だ。
道具は多く、クラブ類はたとえ中古であっても揃えるのには金がかかり、ボールや靴や手袋なんかも揃えなくてはならない。
おまけにマナーやルールなど覚える事が多くあり、何人か集まらなければ出来ないし...

そんな面倒な事をしなくても、なんとか手に入るオモチャにスマホがある...ゲームがあるし、バーチャルな仲間がすぐ出来るし、時間はいくらでも潰せる。

40代くらいの最後のゴルキチ世代のあと、ゴルフに熱中する世代はもういない。
ゴルフを出来るのは恵まれた一握りの人だけだ。

やってみれば魅力があるのが判り、人生までももっと楽しめるようになる可能性がある遊びなのに...それを、今精一杯の生活をしている若者に勧めるのは酷だと感じてしまう。
将来に夢を持てない若者達、車も持てずユニクロの服を来て一食500円の食費がやっとの正社員になれない若者達、あるいは正社員でも薄給で給料が上がらない若者達の視界に「ゴルフ」という選択肢は無い。
株主に対する責任だとか言って、利益が上がっても内部留保として社員に分配しない経営者が当たり前の今の世の中...それでいいのか?

頭の悪い私に経済の本当の意味なんか判りはしないが、結局今の若い世代の殆どがゴルフどころじゃないというのは切実に感じる。
だから...今のゴルフは近い時代に必ず滅びる。
ゴルフ場は半分近くがつぶれ、残った殆どのコースはパチンコ関係や金貸し関係のコース経営会社に所属し、安いセミパブリックコースとなり、以前からあった「名門コース」は超高額な年会費を納められるメンバーがいるコースのみ「名門」として存続し、それが出来ない「名門」はコース経営会社の目玉コースとなって生き伸びるしか無いだろう。

そんな時代にはもう私のゴルファーとして命も終わっているから、それを目の当たりにしないですむのが有り難いけど...ゴルフの楽しさを知る事もなく、スマホに向き合って時代を過ごして行くしか無い若者達が可哀想だと思う。

人の手によって作られ整備された自然であっても、コースに出て季節の風と、移ろい行く時間の流れと、空を飛ぶ白いボールとともに旅する気持ちを....スマホから顔を上げて、味わって欲しいものだと切に思う。

...また気が向いたら、そのうちに続きを。