ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

廃マニア?

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オレは廃マニアなんだろうか?

滅びて行くものに凄く心惹かれる。
華やかだった過去のある「それ」がいつしか廃れて行って、遥かな時間の彼方の過去の栄光を夢見ながら静かに朽ち果てて行く...そんな姿に諸行無常、盛者必衰の理を感じて。

一つのそれは鉄道の廃線跡...駅の名残であったり、赤く錆びて残されたレールだったり取り残された橋梁の跡だったり。
一つは滅びていった城のあと...石垣であったり、堀跡であったり。
あるいは、軍艦島とかの産業遺跡。
あるいは普通の廃工場跡にも心惹かれるし、廃道や炭坑閉山などで無くなってしまった町の跡。
それに、単なる人の住まなくなった廃屋にも不思議な「美」を感じて絵を描きたくなる。

そして、もう一つ心惹かれているものが廃コース...クローズされて行くゴルフコースの姿だ。
...自分がゴルフを始めた少し後にあのバブルが起こり、全国に新設コースが作られ始めた。
それまで利用されてなかった都市近郊の山岳地に、驚く程の数のコースが造られ始めた。
古い名門コース...所謂上級市民の方々のゴルフブーム以前から遊んでいたコースは、人の住む平野部の住宅地にも十分になる交通の便利な土地に作られていたが、新設コースは都市部の近くの土地の値段の高い所には作れなかったので、住宅地から100キロ150キロと離れた場所に多く作られた。
それも遠くても平らな土地は既に人が住んだり立派な田畑になっていたので、そうではない急な斜面などに重機の力を駆使してコースが造られた。
紙切れを刷りさえすれば会員権として高く売れたので、見栄えを良くする為に立派なお城のようなクラブハウスを造り、内外の有名設計家に頼んで魅力的なレイアウトのホールを造った...そしてバブルの時に起こったゴルフブームでは、名門コースには縁の無い普通の熱中庶民ゴルファー達が「憧れのホームコース」を持ち、「憧れのクラブライフ」をしたいと無理をして会員になった。
バブルが弾ければ、あとは「祭りの跡」のいつものパターン...正直者だが欲もあった不器用なゴルファーは皆大損害を出し、会員権はただの紙切れになり、コースは倒産して会員の権利なんて殆ど無いセミパブリック経営で、なんとかプレーだけは出来る状態が続くようになった。

それが、あの大地震で傾いて来た...特に関東北部では「放射能」の風評被害と、不景気でのゴルファー達の小遣い減少に寄って来場者は極端に減って来た。
そしておまけに一般ゴルファーの中心層だった年代の高齢化に寄って、遠距離で高速使用しかないコースに行く人の数はどんどん減って行き、今後も改善の希望が持てない。
これでは赤字でクローズするコースが増えてもしょうがないだろう。
おまけに今ならあの不自然な国の買い取り制度に寄って、「ソーラー」事業に転換すれば間違いなく利益が出る。
こんな事情で、関東北部の東京から150キロ程のコースが次々とクローズしている。

その一つに今年でクローズすると言うファイブエイトゴルフクラブがある...丸山茂樹が買ったと言う事で有名だが、以前はサイプレスカントリークラブと言う名で、バブルの頃に高額募集でオープンしたコースだった。
その後練習設備を充実させて、かなり評判のいいコースであったが経営は大地震以来悪化の一途だったようだ。

そんなコースで10日にオープンコンペがあると言うので、クローズ前に初ラウンドをして来る事にした。
...そういえば去年の10月には今年3月閉鎖と言う茅ヶ崎ゴルフ倶楽部でラウンドしたっけ(茅ヶ崎ゴルフ倶楽部はパブリックとしてまだ暫定営業を続けているようだけど)。
あぶらげさんのホームだったサットンヒルズもクローズになったし、最近クローズになったり休止を発表したコースは(関東だけで)、月夜のカントリークラブ(群馬)、カナリヤガーデンカントリークラブ(千葉)、バークレイカントリークラブ(栃木)、サンモリッツカントリークラブ(栃木)などがある。

このファイブエイトもメガソーラーになると言う話なんだけど、クローズになるコースの殆どが跡地をメガソーラーとして使用すると言うのが心配だ。
ゴルフコースはクローズして放っておけば、すぐに以前の野山の姿に戻ってしまう(河川敷の北越パブリックなどはクローズして2~3年でもう殆どコースの姿は判らなくなっている)けど、メガソーラーにしたらそうはいかないはず。
大体メガソーラーと言うものが利益を生み出すのは国が高値で買い取りしている今だけ...市場原理に会わせて売買するようになれば、ろくな利益は生み出せないと言われている。
しかし営業が成り立たなくなったからと言って、この広大な土地に設置した莫大な量の太陽電池はそのまま捨て去っておけるもんなんだろうか?
それこそ手に負えない産業廃棄物問題が又起きてしまうんじゃないのか?

素人ながらゴルフ場のクローズとメガソーラー転換にはそんな心配がずっとある。
...それに第一、そんな廃メガソーラーなんて廃マニアとして魅力を全く感じないし。


さて、滅び行くコースの最後の姿、目にしっかりと焼き付けて来よう。
自分が気に入るようなコースだったら...寂しいだろうなあ。