ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

ずいぶん遠く迄来たもんだ....

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63歳。

そんな年齢は、遥かに先のお話で、自分には縁のない時間のような気がしてた。
20歳になって絵を描こうと決めた時、自分は長くは生きられないと覚悟を決めた。
美術の教育を受けた事もないただの男が、23歳でいきなりイラストの世界に飛び込んだ。

食えないだろう、結婚なんて出来ないだろう、30ぐらいで行き倒れかな...なんて本気で思ってた。
それがこの年まで生きて来られたのは、ただ「運」が良かったから。
...運というものには色々あるが、自分にあったのは「人に会う運」だった。
不器用で愛想も悪く、お世辞も言えない売り込みも出来ない男が、節目節目で「恩人」に会えた。
デザイナー、編集者、イラストレーターの大先輩、貧乏暮らしの近所の人達...
本当に、よくもまあ、沢山の人達に助けられたもんだ。
そして、それは今でも続いている。

フリーのイラストレーターとして稼ぎもろくにない時に、なぜか当時一番惚れた女性と結婚できた。
娘が二人生まれると、その娘が20歳を超えるまでは死ぬわけにはいかないと、責任を感じたとたんにまた「人」に出会って連載の仕事を貰えた。
本当に奇跡的な出会いの連続で、売り込みも出来ないのに40年近く仕事が切れた事がない。
その運に感謝するしかない...本当にアリガタイ。

ゴルフもそう。
全くする気がなかったのに、ばったり町中で出会って仕事を紹介してくれた人がいた。
仕事なのでやむなく始めたゴルフに、即ハマって夢中になった。
ゴルフの腕が上がるとゴルフの仕事が増えた...それが今まで30年近く続いている。
ゴルフに出会えたのも、やっぱり「幸運」だった。

最近は、そんな出会った「恩人」達が、殆どみんな定年を迎えていなくなってしまった。
東京に出れば、何時だっていた飲み相手が、いなくなってしまった。

時が流れたんだなあ...そんな事を今更思う。
ショーウィンドウに映るジイサンが自分の姿だなんて、未だにホントは信じちゃいない。
自分の気持ちは20代から変わらないんだし。

...ただ、腰が痛い、とか
太り過ぎだとか
めまいを起こしてクラクラしている、だとか
かっては風のように動けたのに、今ではそよ風にも追いつけない。
軽く地球から離れて空を飛べた身体は、今はなかなか地面から離れようとはしてくれない。

63歳。
落ち葉が目の前を横切って落ちて行く。
...こういう季節なんだ...


明日はちょっとめまいが不安だけれど、芝の上を歩いて来よう。
新しく、生まれ変わったつもりになって。