ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

雪の日のゴルフ場

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昨夜から降り始めた雪が、目が覚めると関東地方も都心まで雪景色に変えてしまったようだ。
この雪のために、折角楽しみにしていたゴルフの予定がキャンセルになって、がっかりしている人も多いんだろうなあ、なんて考えてコーヒーを飲んでいる。

こんな雪景色を見るたびに思い出す事がある。
今はもうずっと昔になってしまった話。
...35で始めたゴルフは、すぐに熱中して夢中になった。
40の時には栃木県の「遠いけれど、難しくて面白い」という評判のコースで、シングルハンデをもらっていた。
毎月の月例が待ち遠しくて、その月例に向けた練習も充実感があって面白かった。

もちろん今と違って、8月の酷暑の時だろうと1月2月のカチンカチンに凍り付いた季節だろうと、なんにも関係なくコースに通っていた。

何年かは思い出せないけれど、その年は1月の月例でつまらないミスのために入賞を逃してしまい、2月の月例では同じミスはするまいと気合いが入っていた。
練習を欠かさずに、ほぼ満足の行く仕上がりになったと思っていた2月の月例は、天気予報が怪しげな空模様をずっと伝えていた。
そして月例前々日の夜、天気予報が当たってしまって、関東全域に大雪が降った。

普通なら、翌々日の栃木の奥の方のコースなんて百パーセントクローズに決まっていると判っているはずなんだけど。
...月例当日の朝、コースに向かって車を走らせている自分がいた。
なんとなく「あの辺だけは雪はあまりつもらなかったんじゃなかったか」とか「一日晴れたから、融雪剤を撒いたり雪踏みをしたりで、フェアウェイは溶けているかもしれない」なんて...

車を北に向かって走らせていると、窓から見える風景はどんどんどんどん雪が深くなっていく(笑)。
コースに近い町を過ぎる頃には、道路の雪もかなり残っている状態。
コースの入り口は、まるで雪国のように雪に埋まっている...それでも進入路にはかなりの数のタイヤの跡。

コースに入って行くと駐車場には十数台の車。
もちろん除雪はしてないので、雪の吹きだまりを避けて止まっている。
開いているクラブハウスに入ると、2階のレストランで話し声がする。
「やあ、渡辺さんも来たか」の声に、挨拶をしてテーブルに座ると...

2階のレストランから見ると、見事に30センチ以上の雪に覆われたコースの美しい姿!
「ゴルフコースの雪景色っていうのも、きれいなものだ」なんてのが素直な感想。
支配人がやってきて「あまり多く積もったので、雪踏みも出来ませんでした」

みんなまだ若く、ゴルフに燃えている人達ばっかりが、東京から、埼玉から、神奈川から、雪を承知でコースにやってきたという訳。
もちろん、微かには「ひょっとしたら、プレーできるかも」なんていう気持ちもあったんだろうけれど、何より月例に対して集中していた心の炎が、雪だからとずっと家にいたままでは消す事が出来なかったんだろう。
自分も同じく、こうやってコースに来て雪景色を見て、熱いコーヒーの一杯を飲んで、やっと今回のプレーを諦める気持ちになったんだから。

その時にコースで一緒のコーヒーを飲んだ知り合いのメンバーの人達も、不景気やら病気やら引っ越しやらで、ほとんどがコースを売って辞めていった。
今では年に1度くらい月例に行っても、知り合いに会う事はほとんどない。

...もう十数年前の、雪景色の美しいゴルフコースを思い出した、雪の日の朝のお話。