ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

ライ角、ロフト角調整に注意だ!!

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アイアンのライ角、ロフト角の調整って、もの凄く高度な技術が必要だってみんな知っているんだろうか?
俺は、今から十数年前に「酷く痛い体験」をしている。

その頃、ゴルフが面白くてしょうがなく、ハンデも少なくなり、競技でも優勝したり予選を通ったりが普通になり、週一回以上ゴルフに出掛けていた。
そして、クラブも色々と良いものを使うようになって、「これからずっと愛用できる」特別なアイアンを使いたいと思うようになった。
そして目をつけたのが、その当時発売されたばかりのダンロップのプロモデルの、1000セット(だったかと思う)限定モデル。
銅下メッキの柔らかさを謳い、高級さを謳うシンプルで綺麗な軟鉄鍛造アイアンだった。
値段は確か30万以上、当時の俺としては普通なら手が出ないアイアンだった。
でも、ゴルフをずっと最高の趣味として続け、その間ずっと使い続けるとしたらそんなに高くはないかも知れない...なんて自分を説得して、ローンで買うことにした。

そして手に入れたアイアンで、初めて自分のホームコースをラウンドしたとき、同じ組で回った顔見知りの若い男に、「これ、調整してますか?」と聞かれた。

何でも、鍛造アイアンは買ったらライ角とロフト角は調整しておかないと狂いがある、という。
その男は最近自分でゴルフショップを開いたので、「調整して上げますよ。」と言う。
その言葉に乗ってしまった俺は、「じゃ、5番で27度、60度で、それから何度刻みで...」とか何とか、頼んでしまったのだ...勿論自分だけの武器としてずっと使い続けたいために...

しばらく立って、「出来ましたよ、ばっちりです!」の連絡とともアイアンを受け取った。
彼の言うように、測定器で測るとどれも正確にその数値になっている。
「友達だからサービスしますよ」なんて言葉に感謝して、コースに持って行った。

「え!? なんだこれ!??」
コースで使ったときに思わず俺は声を上げた。
顔つきがみんなバラバラなのだ!
例えば、(ほんのわずかではあるけど)4番がちょっとグースに、5番はストレート、6番は少し出っ歯に、7番はまた少し受けている...てな具合に。

後で調べて判ったことだけど、アイアンの調整というのは、ベテランの職人がライ角ロフト角を一緒に三次元的に一気に曲げて決めるんだそうだ...その際に決める腕が、顔をそろえ調整も決まるという「本物の職人技」で、それには10年も20年もの経験が必要なんだと。

ただ、機械的に「まずライ角を決め、次にロフト角を合わせ」なんてやっていると、俺のアイアンのように「数値は合っているけど顔がバラバラ」なんてことになってしまうのだ。

結局買ったばかりで、まだローンが殆ど残っているそのアイアンは、俺にはとても使う気にならないクズとなってしまって、中古クラブ屋に新品同様なのに3万円で売ってしまった。
ローンはその後半年以上払い続けることになって...

その男には「友達だからサービスでやって上げますよ」と言われた手前、何も文句は言えずに「調整を安易にやるのはやめた方がいい」とだけしか言えなかった。

それ以来、俺は中古ショップやオークションで落とした中古のアイアンしか使っていない。
勿論調整してもらったこともない...ホントにあれは痛かったから...