ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

2023年夏のセンチメンタルジャーニー

 

あれから40年...

 

20年間くらい続けて、8月の第1週前後に房総の根本キャンプ場で7〜10日間キャンプをして過ごして来た。
下の娘がまだ歩けない頃に、ランクルの屋根にキャンプ道具を載せてこのキャンプ場に行き始めた。
車中泊ジムニーの頃からやっていたが、娘が生まれてランクルに乗り換え、キャンプ用にテントが必要となり、娘たちが遊べる場所をいろいろ探した結果このキャンプ場に行き着いた。
ここを選んだ理由は、白い砂と岩場があり海が綺麗だったこと。
そして何より、他のキャンプ場のようにテント張り場が団地のように割り振られていず、草の生えた砂丘に4躯だったら乗り込んで自由にテントが張れた事。
トイレは汚く(毎朝清掃はしていたが、落とし込み便所には虫や汚れがつきものだった)、毎日の水汲みや洗濯が大変だったが、娘たちにとっては岩場のプールの海の生物や白い砂浜や青い海・青い空が夏の原風景になったんだとか。
それから、彼女たちにとって夏休みの最優先予定は、このキャンプの日々になったらしい。


そのキャンプは娘たちが学校を出て(つまり「長い夏休み」が取れなくなって)、時間がどうしても取れなくなるまで,,,彼女たちが20歳を過ぎるまで毎年続いた。

 

「どうしてそんな年まで親と遊んでくれるの?」「うちなんか小遣いをあげると言っても、お父さんとお母さんで行っといでよ、だぜ」なんて、当時の友人達から不思議がられて(羨ましがられて)いた。
仕事が忙しくて締め切りのやりくりが大変な時もあったけど,,,7月になると彼女達の方から「今年はいつから?」と聞いてくるので、「もう今年は無理」なんてとても言えなかった。

 

まあ、俺も実は最優先の楽しみにしていたんだけどね。

 

あれから...40年。


「時よ急げ!」なんて思ったことは一度も無かったのに、時間は毎年スピードを増して過ぎて行く。
人生山あり谷ありでも、まだ娘達は毎年根本キャンプ場で過ごした夏の1週間を「楽しかった思い出」の筆頭にあげる。
いつも出掛ける前までは「日に焼ける」とか「疲れる」とか文句を言っていたウチの奥さんは、いつもキャンプ場でテントをセットし終わった途端に「あとx日で帰るのか」なんて残る日々を惜しみ出す。

 

 

 

それでも、抗いようもなく時は過ぎ,,,


幼かった娘たちはそれぞれに仕事を持って大人になって,,,体力だけが自慢だった俺はあちこちが壊れて来て、輝いていたうちの奥さんにも人生の時が刻まれて来た。

 

コロナ騒ぎでここ数年閉鎖されていたこのキャンプ場も、今年は久しぶりの開場だと華やいでいた。
ライフセービングの学生たちも、張り切って若い肌を光らせている。

 

 


振り返ると、岩場や波打ち際に遊ぶ幼い娘たちの姿は無く、足先を波に洗わせて思い出をたどる大人の女性3人の後ろ姿が見える。

 

 

 

 

...40年の時間は、過ぎて行ったのだ。