ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

そんなに責めなくても...

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まあ、「気持ち悪い」とか「下衆」だとか「常識がない」とか「セクハラ」だとか...悪口雑言言われまくっている感のある、某市長の「金メダル」噛み事件。

結局市長が自腹で金払って、組織員会の方で代わりの金メダルを渡すことになったみたいだけど。

気持ちは分かるんだ...オリンピック前から「金メダルをもらった人の多くが金メダルを噛むのはどうして?」なんてことが話題になったりしていたし、実際オリンピック中継でずっと前からそうしたシーンを繰り返し見て来た。

女子選手がちょっとふざけて軽く噛むときもあったし、柔道のむくつけき選手が本当に傷つけそうなくらい噛んでいるのもあった。
この「金メダルを噛む」と言うアクションは、銀や銅ではあまり見られない。
これは元々は「混ぜ物のない金は歯で噛んで傷がつく」というチェック法で、古来からの金の見分け方として多くの人が映画なんかで見聞きした事はあるはずだ。
(実際に1912年のストックホルム大会までは、金メダルが純金で作られていた事が多かったらしい。)

今回の東京オリンピックでも、金メダルを噛んでいる姿は色々見られた。
(もちろん今回の金メダルは、銀製に金メッキとかで噛んでも傷はできないが、写真を撮るときの定番ポーズになっている。)

で、表敬訪問で来たメダリストに本物の金メダルを見せられた市長...(自分ではほんのいたずら心...茶目っ気だったんだろう)マスクを上げてガブリと噛んだ。
ああ・・・「やっちゃった」。

ニュースで放映されたこの映像に対する反発は、もの凄いものだった。
「キモい!」だの「不潔!」だの「侮辱している」だの「下品!」だの...ありとあらゆる市長攻撃の言葉が降り注いだ。
正直「そんなに責められるような酷いことか?」なんて気持ちが俺の中にある。
ほんの冗談・悪ふざけ、「金メダリストしか出来ない事を自分もちょっとやってみたい」とか、「みんなやる事じゃない」なんて軽い気持ちだったんだろうと思う。
でも、その後は毎日毎日「下衆!」だの「市長やめろ!」だの「気持ち悪い!」だの、SNSを中心に責められて進退問題まで冗談じゃなくなってきた。

もしもこれが、若い2枚目の人気男優だったらこんなことになっただろうか?
やっぱり、「おっさん」「ジジー」と呼ばれる世代の「悪ふざけ」が、もっと若い世代には全く通じず、ただ生理的な強烈な拒否反応を生み出してしまったんだと思う。

思い返せば俺たちも、若い頃にはちょっと離れた年上の世代を嫌悪することが多かった。
歳をとっているって事だけで、拒否し否定し悪口を言っていた。

月日は巡り、縁も巡り、因果も巡る。
...冗談は人と顔を見て言わなくちゃな。
軽い冗談が、こうして致命的な失態になる。
でも、ノリ良く陽気に若い世代とも付き合おうとすると、つい自分の年齢を忘れて同じ年の仲間のように振る舞ってしまうのはよくある事。
そんな時、「キモい」だの「セクハラ」だのの落とし穴は、至る所に開いている。

ご同輩、ご用心、ご用心。
若い人と話が合ってるつもりでも、自分は決して「仲間」じゃないって事を忘れるな。
「オジン」「おっさん」「ジジー」にとっては、若い世代は異星人。
若い世代にとって「おっさん」「ジジー」は、過去の妖怪変化。
理解とか共感なんて言葉は、意味のない記号に過ぎない。


もし、こうしたことをやっちまった事に気付いたら...


もう、即座にジャンピング土下座して謝って退散する事だ。
それしか逃れる術は無い。