ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

足が攣ったら芍薬甘草湯...こいつは凄い!

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芍薬甘草湯...漢方の薬だけど、これは凄い薬だ。
俺はお守りのようにこいつをいつも持っている。


...大抵の場合の始まりは、寝起きに足の小指か中指・薬指が甲側かふくらはぎ側に反り返って攣れることから始まる。
目が覚めた時に、人は普通あくびをしながら手足を伸ばして「伸び」をする。
この時に指がどちら側に攣ったにしても、大抵の場合はその攣った方向と反対側に足を反らして攣った筋肉の周辺をそっと伸ばすかマッサージすると治る。
俺の場合、まだちゃんと起きていない時には、届く範囲の壁やタンスに足指を押し付けて攣った方向と反対に伸ばしていると治る。
しかし、短い時間でこの「攣り」が治らなかった時に、これがだんだん大ごとになってくる。
ある程度力を入れて「押しつけて」攣った筋肉を伸ばそうとして居る訳だが、すぐに治らないと力を入れて居るこの「反対側」の筋肉が攣りそうになってくるのだ。
ふくらはぎ側を伸ばそうとしている時には、時間がかかるとその反対側のすね側の筋肉がだんだんヤバくなってくる。
しかし、力を緩めると先に攣っていた部分がまた攣って痛む...ここら辺で「あれ、どうしようか?」との焦りが少し出てくる。
それでもとりあえずは、無理な力を入れないようにして「攣り」が収まるのを待つのだが、それがちょっとでも不自然な格好だと、いきなりその足の太ももが攣りそうになってくるのを感じる。
「ああ、ヤバイヤバイ!」と体勢を変えて違う筋肉を使おうとするが...こうなってくるとまるで蟻地獄に落ちるように、「あっちの筋肉を伸ばすとこっちの筋肉が」「こっちを伸ばすとあっちの筋肉が」状態になってしまい、あちこちが緊急性を持った痛みに襲われて来て、焦りで汗が吹き出てくる。

以前、こうした状況がどんどん悪化して、最終的には両太ももが同時に攣ってしまって、激痛で布団の上を転げ回った挙句「俺、このまま死ぬのかな」なんて迄の思いをしたことがあった。
その時は痛みで全身汗まみれ、口から出る呻き声は止められず、太ももの攣っている筋肉を伸ばすためにそれまでに経験した人生最大の激痛に耐えながら、無理やり立ち上がって、まるでジャックナイフのように攣った筋肉で折りたたまれた形の体を汗と涙にまみれながら全力でまっすぐ伸ばした形に持って行った...
ゼイゼイと激しく呼吸をしながら、顎から眉毛から冷や汗が垂れ落ちる体をやっと直立させたまま、激痛でそれ以上ピクリとも動かせず、ただひたすら太ももの筋肉が弛緩するのを待っている時間は永久に続くような拷問の時間だった。
多分不整脈も起きていたと思うが、この酷い時間を生き延びてなんとか攣りがおさまってから、すぐにシャワーを浴びて着替えて近所の付き合いの長い医者に直行した。

そこで訳を話して処方してもらった薬が、この「芍薬甘草湯」という薬。
正直「なんだ、漢方か...」が最初の感想。
まあ、生活習慣や水分不足やミネラル不足などの注意を聞かされた後、「攣ったらこれを飲みなさい」という薬は、ほとんど効き目を信じていなかった。


ところが、この薬は俺にとって本物の「魔法の薬」だった!
何度か小さな指の攣りはあったけど、薬を飲むほどのこととは思えずにこの薬は飲まなかった。
しかし一月ほど経った頃、また「太ももの攣り」に出くわした。
やはり指から始まった症状が、直そうとしているうちに左太腿の攣りに発展してしまった...また覚えのある激痛が来た...「そうだ、先生にもらったあの薬を試しに飲んでみよう。」
枕元に置いておいた芍薬甘草湯をやはり枕元に置いておいたペットボトルの水で飲む...ところが太腿の激痛の中で寝たままこの粉薬を飲むのは結構難しく、「痛え、痛え」と唸りながら、粉薬をこぼしながら水で流し込む。
「効くのかよ、これで」なんて疑いながら、「いや、このままじゃ痛えんだから効いてくれ!」と頭の中で悲鳴を上げる。

 

ところが...効いた!
服薬してからほんの短い時間で、嘘のように痛みと攣れが消えていった...
まるで魔法をかけられたみたいに、幼い頃の「痛いの痛いの飛んでけ〜!」のおまじないのままに、太腿の激痛がスーッと消えて行く。
攣っていた太ももを恐々動かしてみても、再び攣りそうな感触は無い。
思わず「すげえな、これ」って声に出た。
あの激痛がこんなに短い時間で消えるんだ...魔法の薬だ!

それ以来、この薬は肌身離さず持っている。
枕元にも必ず水とこの薬を置いている。
昨日の朝方、久しぶりに左足指の攣りから左のすねとふくらはぎの両方が攣ってしまって、自分のマッサージじゃどうしようもなくなってこの薬を飲んだ。
左足の足首周りの筋肉が猛烈に攣っていたのが、「今日が効くのが遅いのかな?」なんて考えているうちに、いつの間にか痛みがなくなり、引き攣れていた指や筋肉が普通に動くようになっていた。

朝、寝起きで足が攣ることが多いというのは生活習慣に問題があるんだろうけれど...こうした薬を体験すると、漢方というのは大したもんだと思う。
これは漢方というものが、人間の体の有り様から始まっていることが原因なんだろう。
体の内部の問題に対処する漢方と、外部からの敵に対処しようとする西洋医学...人間の生き方やあり方まで変えてしまう様なあの武漢肺炎に、両者がスクラムを組んで勝利することは出来ないものか。

あの武漢肺炎に、この薬のような「特効薬」があれば...人はまた今までのように、明日から肩を組んで酒を飲み、カラオケで歌を歌い、侃侃諤諤顔付き合わせて人生を語ることが出来るのに。