ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

「ヒッコリースティック」というのはスチールシャフトで、ヒッコリーシャフトではない。

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本当に俺の趣味でやっているヒッコリーゴルフ。
このヒッコリーゴルフは、飛ばないし、折れるし、バンスがないので難しいし、現代クラブより良いスコアを出すことなんて不可能に近い。
現代ボールを使って何本か折ってしまった経験から、俺は古い糸巻きボールをオークションで探して集めて使っているが、これも「ゴムが既に腐ったボール」な訳だから、往年の性能は出る訳が無い代物。
だから、「古い道具で打つ楽しみ」を感じない人には全く興味のない遊びなんだけど、なぜかそんな「不自由を好む人」が最近チラホラ増えてきたようだ。

俺がこの楽しみをみんなに勧めないのは、この遊びをするための「使える道具」を揃えることがすごく難しいから。
俺はオークションで時間をかけて揃えたが、ヒッコリークラブというものは探せばそんなに高いものではない。
ただ、1本2本と出品されているヒッコリークラブは高額な値段設定の物が多く、なのに使えるクラブの確率が低いので失敗しやすい。
俺はそんな中で、たまに出る5本10本とまとまったものを何年もかけて買い集めた訳だが...今迄の経験からは10本集めてもそのまま使えそうな物は3本くらい。
あと3本はかなり手を入れればなんとか、なるかどうか。
残りは「飾り」にはなるだろう、なんてもの。
だから使えるクラブを7〜8本揃えるのには、長い時間がかかる。

ここに来て、「ヒッコリーゴルフに興味があるからクラブを揃えたい」という相談を受けることが少しだけ出て来た。
その相談から書くのだが、オークションやらでクラブを集め始めたという人が気をつけなければならないのは、かなり高額で出品されているキャロウェイの「ヒッコリースティック」のクラブ。
これはヒッコリーと名前がついているが、正体はスチールシャフトにヒッコリーをかぶせた「ヒッコリーシャフト風スチールシャフト」...つまり「スチールシャフト」なのだ。
海外では、ヒッコリーシャフトのクラブを買うときには磁石を持って行って、シャフトにつくかどうかを調べるという。
磁石がつくようだと、残念ながらヒッコリークラブではないと判断されて、まず低額な扱いを受ける。

ところがこうした知識不足から、オークションでは「希少クラブ」とか「珍品クラブ」とか説明されてベラボーな高額で出品されているものが結構多い。
念のために書いておくと、「ヒッコリークラブでのゴルフ」ということに拘らなければ、このクラブの性能は古いヒッコリークラブよりずっと高い。
なんて言ったって、ジーン・サラゼンの発明した「バンス」が付いていて凄く使い易いし、中身がスチールシャフトだからどんなにフルショットで引っ叩いても折れやしない。

公式なヒッコリークラブの大会に出る、なんてものじゃなければ別にこうしたクラブで楽しむのも大いにアリだと思うが、知識が足らずにヒッコリースティックのクラブを使って「俺はヒッコリーシャフトのクラブでゴルフを楽しんでいる」と他人に言うのはめっぽう恥ずかしい。

キャロウェイのために行っておくが、ヒッコリースティックを使ったウェッジ類は易しくて使いやすいと評判が良い。
ただ、趣味というものが各人のこだわりの上に成り立っているものだとすると、こんな変態ゴルフを趣味とするなら、各人その偏屈な美学には厳しくあってほしい。

まして、知識不足勉強不足でヒッコリーもどきのスチールシャフトを使って、他人に「ヒッコリーゴルフは面白い」なんて言うのはダメだろう。

(もしお金があるのなら、現代でもヒッコリーシャフトのクラブを製造しているメーカーがいくつかあるから、そこで何本か揃えて始めるのが一番手っ取り早い。
正直俺が集めた百年もののクラブに比べると、ちょっと「打感」が物足りないんだけれど、この現代もののヒッコリークラブなら現代のボールでも使えるので不自由はしないだろう)。