ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

狂気の科学者・ブライソン・デシャンボー その4

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今時、バカバカしいほどのマン振りでアメリカツアーを暴れ回っているデシャンポー...最近はそのゴルフがパワー任せのイケイケゴルフの様に言われることが増えたけど、実はかなりのインテリゴルファーだって事を改めて書いておきたい。

ただ・・・あの超スロープレーと、わがまま勝手なルール解釈の「俺様ゴルフ」っぷりを見ていると、「本当にインテリなんて言えるのか?」って思われちゃうのもしょうがないとは俺も思っている。

しかし、彼のハンマー打法からのムキムキぶっ飛ばしゴルフに隠れてしまってはいるが、ゴルフのもう一つの売りが「ワンレングスアイアン」だ。
全てのアイアンを6番アイアンの長さに統一して、ライ角を同じにする...つまり、全てのアイアンのショットの前傾角度を一緒にして、「同じ一つのスイングで飛距離を打ち分ける」という彼のスイング理論を体現している彼が作ったアイアンだ。

実際に彼のスイングを見てみると、本当に全てのアイアンショットでアドレスとインパクトの前傾角度が変わらない。
本当にインパクトでの形でアドレスしている、という訳だ。
だから残り距離に対して彼が何番アイアンを持っているのか、テレビ放送を見ていないとわからない。
(ただし、バンカーでは少しハンドダウンさせるし、グリーン周りのアプローチは手を使うこともあるようだ。)

そしてこの「ワンレングスアイアン」。
どういうところが良いかが理屈ではわかっているのだから、クラブメーカーも安価に素人が使いやすいものが作れれば大ヒットする可能性が高いはず。
すぐに色々なメーカーから売り出されると思ったが、実際にはごく少数のメーカーから「もどき」っぽいのが出たのみで、評判もイマイチだ。
そこで調べてみると、面白いことが出てきた。

 

 

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つまり、そういう事らしい。
単純に長さを一緒にするだけじゃ全くクラブとしては使い物にならず、アイアンには肝心要の「距離の階段」を作ることが物凄く難しいことなんだと...。
結局、メーカーはワンレングスアイアンで距離の階段を作るために、ライ角を変えたり(それじゃ、アドレスが番手毎に変わってしまいワンレングスにする意味がない)、ロングアイアンの階段は短くショートアイアンの階段は長いので番手間のクラブを増やしたり...
で、我々へぼが使えるような、易しいワンレングスアイアンなんてものはいまだに一つもありゃしない。

それを自分で考えて、作って、アメリカツアーで使って結果を残して(今のところツアー6勝)いるデシャンボーは、まさに本物の科学者に間違い無い。

(マッドなのかクレージーなのかは置いといて)スイングの研究をしてシンプルで再現性のあるハンマー打法に注目し、その欠点を修正し、それに合わせて道具まで工夫して作って、ついでに自分の体まで作っちまって....天才だと思うよ、デシャンボー。

コース中暴れまわって、キレても文句言っても構わない。
ただ、せめてスロープレーだけは改善しろよ。
あんたは面白いし、痛快だ。
だけど、

あんたのプレーは、超絶遅い!

頼むよ。