ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

2020年全米オープン 最終日

f:id:ootataki02:20200921193836j:plain

やっちゃった。
デシャンボーのぶっちぎり優勝。

面白いね...さあ、どうするんだ?
スイング評論家にクラブ用品の関係者の方々。

あの彼のスイングをどう評価するんだろう。
あちこちで特集して「デシャンボー打法が最強」とか言っちゃって、町の練習場にはデシャンボー打法もどきがたくさん出現するんだろうか?
デシャンボーのここがいい」とか言って、100叩きゴルファーに蘊蓄を書くんだろうか?
それとも、「君も筋肉を20キロつけよう!」なんちゃって、プロテインを飲みつつ、ウェイトトレーニングを始めさせるんだろうか?

彼の道具も同じ事...彼のアイアンは他の誰も使っていないもの。
あの同じ長さのアイアンを、ちゃんと作れるメーカーはあるんだろうか?
沢山のゴルフ関係者の方々が、この優勝をどう評価するか、どういう記事にするか、悩んでいるんだろうなあ。
デシャンボーを「ゴルフサイエンチスト」だの「マッドサイエンチスト」だの「ゴルフマシーン」など名付けて、からかい気分でいたほぼ半数の人達はこれからどうしようか本気で悩んでいるんだろうね。

「ともかくぶっ叩いて飛距離を出して、より短いアイアンで強烈なラフを克服する」なんて攻め方は、「頭の空っぽな体力自慢のゴルファーの失敗間違いなしのやり方」だと思われていたのに、ゴルフ頭のいい奴がそれをやって世界一難しい全米オープンでぶっちぎって勝っちゃったから、伝統的価値観の崩壊に悩む人が増えるだろうな。
あれは賞金稼ぎのプロの話で、一般ゴルファーには関係ないんだけれど。

ただ、俺個人はデシャンボーのゴルフは大いに認める。 
彼は、より正確だが距離が出ず、捕まり過ぎれば大トラブル...なんていう元祖ハンマー打法を、デシャンボーなりのグリップと増大させた筋力と彼自身の発想による道具の開発という3段構えで作り上げ、その上弱点だったパッティングもやはり自分なりの理論と道具によって強化して、こうして世界一難しいメジャーで開花させた。

今までのゴルファーは、その時に存在したクラブで自分のゴルフを作り上げてきたのだが、彼は自分で考えたクラブから自分のゴルフを作り上げている...ゴルフサイエンチスト・マッドサイエンチストという飾り名も伊達じゃあ無い。

ただ、無茶苦茶に体を鍛えて作り上げたスイングは、強く柔らかく動く筋肉と関節と気力によって、今現在おそらく百パーセントに近い能力を発揮している。
人の体は強そうで弱い...ほぼ例外無く優秀な運動選手というものは初めて壊れたことを実感する時まで、「自分の体は絶対に壊れない」という自信を持っているものだ。
...デシャンボーは9月16日で、27歳。

我々ジジー達は、それぞれの分野での自分の全盛期のパフォーマンスを思い出して、デシャンボーの今まさに輝いているパフォーマンスをハラハラしながら応援しているのだ。
...おい、大丈夫か?
...無理するなよ。
...お前は、今最高に面白いんだから、どうかもうしばらくそのまんまで暴れまわっておくれ。
...プロゴルフ界の諸々の問題をみんなぶっ壊すまで、俺たちのように夢半ばで故障でリタイアなんて目には合わないでくれよ。


クラブメーカーも、デシャンボーに負けないようにね。
彼のクラブのモデルが出来るかどうか、注目してるよ。

 


さ、マッドサイエンチスト・デシャンボー、次はマスターズだ。