ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

チェ・ホソンのスイング

イメージ 1

最近はゴルフトーナメントの中継を全く見ないので、チェ・ホソンというゴルファーのスイングが面白いと評判になっていることを全然知らなかった。
つい最近も週刊誌などでそのフィニッシュの踊るような格好が、おもしろおかしく紹介されているのを見た。
(すでに日本のトーナメントで優勝したらしいことも知らなかった)

それで、そのスイングの動画を探して見たのだけれど...

解説は「体が硬いから」とか「クローズドスタンスだから」とか、「自己流スイングだから」だとかで、「アマチュアゴルファーと同じスイングだ」ということになっているらしい。

俺の個人的な感想は、「インパクトの前後ではヘッドはキッチリと「さすがプロ」の動きをしているので、何も変則的なスイングでは無い」だった。
確かにクローズとスタンスがきついが、45歳という年齢的に他のプロと同様に飛ばしたければ肩が入りやすくヘッドスピードを上げるためには理に適っている。
それでヘッドスピードを上げようと振れば、左足首を左に回さない限りあの年齢と体重で足首は壊れてしまう。
そのためにインパクト後に、ジャンプして左足首を逃しているのでああいうスイングの形になっている。
ゴルフスイングというものは、ヘッドがしっかりボールを打ち抜いた後なら、たとえその後でジャンプしようと宙返りしようと、打球の行方には関係ない。
もともと彼のスイングはインパクトで左足や腰が外に開きやすいスイングなんだろう(本人の言うように「体が硬く、遅く始めたゴルフ」と言う事であれば、当然腰を早く開き足首を左に回して振るのが自然な動きだ。)
しかし、それこそアマチュアスライサーのスイング。
インパクトで打ち抜くまで、腰の開きを抑え、足首を固定しなければ球筋は安定しない。

しかし、あの年齢と体重で「プロのヘッドスピードで、足首を回さないままの綺麗なフィニッシュ」なんて望んだら、足首はもちろん腰もすぐに破壊されるだろう。
例外は勿論あるが、若い頃美しいスイングとフィニッシュの形で天才と謳われた名選手が意外に早く消えていく理由の多くが、この「綺麗なフィニッシュ」による腰の故障にあると俺は思っている。
(例えばセベ・バレステロスとか、石川遼とか...)

このチェ・ホソンというゴルファーも、アイアンショットでは左足はかなり苦しそうではあるものの、開かずにおとなしいフィニッシュに収めている。
本人も飛距離よりも正確さを求める場合には、左足先が動かない範囲でスイングしているのだ。
ただ、俺はあのフィニッシュの後のタコ踊りは「わざとやっている」と思っている。
あれはやろうと思ってやっている...多分自分で勢いをつけるために、自分で気合いを入れるやめに...プロならば、それはアリだろう。

今のゴルファーたちがあれを喜んでいるのは、ああした一目でわかる個性的なスイングスタイルのプロゴルファーが少なくなったからなんだろう。
マキロイをはじめとする今が盛りのゴルファー達は、みんな綺麗なスイングで綺麗なフィニッシュだ。
もちろんそれぞれスイングの個性はあるが(スピースの肘とか、ジョンソンのトップとか)、往年の個性的スイングの名選手たちに比べれば、ほんの些細な違いだ。
俺たちが見た、リー・トレビノ、ミラー・バーバー、レイモンド・フロイド、ジョン・デイリーなんて連中の方が、みんな300y先からわかる個性的なスイングで、面白くて・・・強かった。

どうせならチェ・ホソンも、フィニッシュの後のタコ踊りに磨きをかけて、これから世界に出て行ってメジャーの一つでも獲って欲しい。

ゴルフスイングなんて、インパクトゾーンでヘッドがちゃんと動いていれば、何やったっていいんだから、もっともっと楽しませてくれるゴルファーがいた方が面白い。

マチュアには、スイングの途中で座っちゃう人とか、後ろ向いちゃう人とか、剣道の面打ちのようなトップの人とか凄いスイングの人がいっぱい居るんだから、プロにも負けて欲しくない。