標高1900mから1700mを走っているビーナスラインでは、落葉樹は全て葉が落ちていて、白い幹と枝の重なる眺めが美しかった。
そこからずっと降りて来た、軽井沢から吾妻峡では葉はあってもとっくに紅葉は終わっていて、色の落ちた枯れ葉がただ枝に残っているだけ。
微かに期待していた「山の紅葉見物」には、やはりちょっと遅かった。
今まで冬の車中泊でも、羽毛布団は厚めのもの1枚で寒くて眠れないということはなかったが、この夜は1度2時半頃にトイレに行ってから、体が冷えて温まらず眠れなくなった。
(朝方顔の横の窓の内側に氷が厚く張っているのを見て、もう一枚布団を追加してからやっと温まったけど)
外に出て車を見ると、細かい氷の粒が窓枠などに積もっている。
やはり夜の間に雪が流れて来て積もったようだ。
標高200m程度の日光の街にはまだ紅葉の名残があった。
ここに降りてから、奥様の希望で霧降高原を通って大笹牧場に。
牛たちを見てから朝食に名物のジンギスカンバーベキュー...これは味より雰囲気なんだろうなあ。
今回一番紅葉が綺麗(派手)だったのが、この日光宇都宮有料道路の両側の景色だった。
道路沿いに紅葉する木々が植えられていて、特に赤く紅葉したモミジの美しさはここが一番凄かった...ちょうど紅葉真っ盛り状態で、逆光に透けて浮かび上がる赤の色が幻想的だった。
「道の駅はが」はお休みで、新しく出来た「道の駅いちかい」はちょっと寂しく、いつもの「道の駅もてぎ」は混んでいた。
ここで一休みした後の、俺のお楽しみが毎年見に来る「地味な関東の低山紅葉」(笑)。
「道の駅もてぎ」から、東の宮cc・希望ヶ丘ccの横を通って、雨巻山の左から岩瀬の街に降りる田舎道。
この道の両側に広がる景色は、東京の方向に向かっているのにドンドン山奥に入って行くような不思議な感覚が残る道。
左側に広がる低山の山並みは、派手な色はないのに赤から茶色のグラデーションが実に繊細で、特に夕日に照らされる時間には(俺的には)息を飲む程美しい。
この道は岩瀬方面に走るとだんだん高度が上がって行き、道の左側に広がる段々の田んぼがそれぞれの季節に美しく、いくつかある集落もその風景に溶け込んで、遥かな昭和の世界にタイムスリップしたような錯覚さえ感じてしまう。
道の右側は今まで登って来た道から考えられない急な山の斜面の風景となり、そこの低山紅葉の眺めもまた美しい。
ただ、今年はこの関東平野側の紅葉の眺めが、反対側にあった低山紅葉に比べてなんだか黒ずんでいて、あまり美しくない。
こんなに地味で暗い紅葉は見たことが無いくらい...あの台風の塩害のせいかもしれない。
あとはいつものゴルフ場帰りの道だが、さすがに関東平野の風景は街路樹や寺・神社の銀杏など、秋の色はまだまだ十分に残っている。
旅して来た道は、標高の高い場所にはもうはっきりと冬が来ていた。
あの冬が、これからだんだんここまで降りて来る訳だ。
走行距離は900km弱。
運転の疲れは無かったから、もうしばらく旅を楽しめそうだ。
でも、今度は暖かい房総方面かな...雪や氷の季節じゃ、2WDは本当に意気地が無いからなあ。