ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

2014年初冬の旅

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最近栃木方面のコースに行く時は、真っ暗な中を単車両の真岡鉄道が「ガッタン・ゴットン」と懐かしい響きを残しながら、まるで空中を飛んでいる様に見える光景を寄り道しながら楽しんでいる....そんな話を聞いた次女が「私も見たい」「それに、最後の関東低山の紅葉も見たい」というので、急遽初冬の旅に出る事にした。
足首が治ってない為にゴルフの練習をする事も出来ないし、たまには家族サービスも、という事で金曜昼頃出発。
長女も連れて行きたかったが、うちも長女のところも(多分同じ親からの)猫を飼っているので、どちらかを誰かに預けたり出来ないと一緒に行く事が難しい。

まずは関東低山まで行く前に、通り道の真壁城に寄り道したが...ちょっと覗くだけのつもりが、道に「こっちにおいで」という様に、なんだか洒落たデザインの上り旗が並んでいる。
竜の様な...と思っていたら、これは真壁氏の戦旗でイノシシの絵だと言う...実に良い感じではないか?
丁度発掘作業をやっていて、そこの責任者のような方に丁寧に説明して頂いた...思っていたより遥かに大規模な遺跡であり、割合に良い状態で残されているので発掘が完了すれば立派な史跡になるらしい。
城主の「鬼真壁」と呼ばれた真壁氏幹は、2メートルの棍棒で馬ごと人を薙ぎ払う有名な豪傑であったとか。

そこから岩瀬を経て茂木に向かう道中が関東低山紅葉の私のお気に入りの場所だが、やはりちょっと遅かった..ほぼ紅葉は落葉してしまい、むしろ枯れた幹の重なりが美しい。

そして、娘が一番見たかったと言う(私のお気に入りの)真岡鉄道の風景は、時刻表で確認した5~6時台の電車を見る事にしたのだが...この日が12夜と言う明るい月と、今までは9~10時に見ていた為に非常に静かな雰囲気だった道路が、この時間では通勤時間や帰宅時間と重なる為に、常に明るいヘッドライトの車が通り続けてとても雰囲気なんかあったもんじゃなかった...次回もっと遅い時間にやり直し。

そして、道の駅での宿泊だけど...茂木ではまだ早い時間、なら道の駅「かつら」に行こうかと。
しかし「かつら」でもまだ早い...「明日、どこに一番行きたい?」「出来るなら根本のキャンプ場に」というのは娘達二人の意見。

根本まで行くとなると、「かつら」から200キロ以上...「しょうがない、途中の道の駅「おらいはすぬま」まで行こう」...そこまで「かつら」から150キロ(汗)。
下道を延々と走って道の駅「おらいはすぬま」についたのは22時半、二人を先に寝かして、一人宴会で一杯飲んで寝た。

次の日はまず海を見たいというので、波乗り道路を走りパーキングでセブンの朝飯。
そこから太東岬の燈台に行き、よく晴れた天気の為に鮮やかな紺色に輝く太平洋を楽しむ。
そこでは、土・日曜とボランティアで甘酒などを販売している地元の人達とストーブに当たりながら色々歓談...既に咲き始めている水仙を見て喜ぶ奥さんに「その辺の何本か持って行きなさい」。
勿論奥さん大喜びで何本か...崖に落ちそうになり娘に引っ張られるおまけつき。

そして、そこから下りた場所で「波の伊八」と有名な武志伊八郎信由の代表作があると言う飯縄寺に。
居合わせてくれた住職さんの案内で、幅4メートルの大作「牛若丸と大天狗」と左右の波の形が違う「飛竜」をじっくりと見る事が出来た。
これは掛け値無しに凄かった!
遠い江戸時代というより現在の感覚の彫刻で、天狗も竜もそのまま3Dゲームのキャラとしたって違和感の無い、時代を超えたセンスを感じる。
波の見事さは声がでない程で、素材の木目や年輪まで活かしたその技術は静止した彫刻に動きさえ感じさせる...北斎が影響されたのも当然な話と納得する(北斎とは当時からつながりがあり縁があったそうだ)。

飯綱寺を出たあとは、道の駅に寄り道しながら根本まで...のつもりが、根本キャンプ場の前の道は飛砂の影響で道が封鎖、脇道に止めての訪問となった。
次女にとっては、2歳未満のまだろくに歩けなかった時から(当時は四角いランドクルーザー)毎年夏になると7~10日間キャンプで過ごした想い出の場所。
最後に彼女がキャンプしてから、もう10年くらいも経つか・・・

夏と違う光の下、センチメンタルジャーニーの気分を、二人で充分に味わっていたようだった。
風も冷たく、他に誰もいないキャンプ場ではあったけど、二人の目にはあの昔のテントと小さい頃の姿と、たくさんの夏の人々が見えていたんだろうと思う。

また同じ道を行きたいというので、そこから来た道を九十九里まで引き返す。
途中セブンで珈琲を飲んだり、落ちて行く夕陽を惜しんだりしながら...
「ああ、もう夜になるのか」なんて、「終わった」気持ちでドライブしていて房総半島の「岩と崖の海」から九十九里の「砂の海」に出たとき、「あ、月が!」の声。
見ると水平線上に低く、赤く、大きく13夜の月が浮かんでいた。
そして割合と静かな海面に、「月の道」がだんだんとはっきりと浮き上がってくる。
歓声を上げる二人の為に、波乗り道路のパーキングから低く浮かぶ赤く大きな月と、海を渡ってこちらに続く「月の道」に見入る。
久しぶりに見る、鮮やかな「月の道」。
上がるに連れて短く太くなって行く道を充分に見たあと、食事をし、浜辺を散歩してから家へと向かった。
走行距離650キロ。

しばらくゴルフが出来ない身には、良い天気と色々なハプニングで「命の洗濯」が出来たドライブ...「初冬の旅」だった。

あ、もちろん柚も「旅猫」として参加。
楽しんでいた? と、思いたい。